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水の写真 3

新宿ニコンサロンで、村上知重「水、満ちる」を見る。
霧でほとんど真っ白のプリント、水しぶきで全体が白く煙り水面が少しだけ見える、海外の温泉らしきところの湯煙が立ち込める向こうに人が入っているのが見える、高原の緑の中に草花が咲いているのが霧の中に見える、こんな作品だ。
作者は1980年生まれと若いが、三木淳賞をはじめ立派な経歴の持ち主だ。
三木淳賞を獲ったときの作品「球体の紡ぐ線」がブックで置いてある。これを見てすごいと思った。若い人なのにこんなに熟成した写真を撮るのかと思った。

もうひとつの展示は、小川啓子「悠久の大地」。
モンゴルのモノクロ。ウランバートル市内、亀石、テレルジの舗装道路、イヘ・ガスリン・チェローを思わせる岩山など、観光写真のよう。ダンビーさんのような人も写っている。
技術的には、手ブレが見えたり、ネガに大きなキズがあったり、大きな?がつくのだが、作者はどこかのニッコール・クラブの支部長さんらしい。

今回や昨日見たモンゴルと、海野さんの「MARGINAL LAND」を比べたとき、同じモンゴルといいながらこんなにも違うのかと思う。
何度訪れても、現地の人を撮ればどうしても観光写真に見えてしまう。
撮られている彼らは、撮影者を日本から来た観光客として見ているのだから、彼らの振る舞いも観光客を相手にしているものになってしまう。
風景を撮るにしても、異国の風景を撮ろうとしたら、やはり観光写真になってしまうだろう。
何らかの意図を持って戦略的に撮らなければ、その風景に撮らされた写真になってしまう。

Now Listening : Mischa Maisky / J.S.Bach:Six Suites For Solo Cello
by pprivateeye | 2007-05-10 22:20

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye