人気ブログランキング |

Private Eye

ppeye.exblog.jp ブログトップ

「サタンタンゴ」

「サタンタンゴ」_f0067724_23420151.jpg


2020年2月9日(日)

早稲田松竹でタル・ベーラ監督「サタンタンゴ」(1994年)を観る。
監督はあの「ニーチェの馬」を撮った人。
この映画は7時間18分もあり、にもかかわらずカット数は約150カットに過ぎない。単純に計算しても1カット3分という長さになる。驚異的といってもいいこの長回しは、最初見る者に驚きや戸惑いを与えるが次第にその場面に捕われてしまう。
時代は社会主義時代末期のハンガリーの農村で、集団農場は解散することになり、経済的に行き詰っている。秋が来て、雨の日が続く。道がぬかるんでしまうと町へ買い出しに行くことも難しくなってくる。無為に日常を送るだけで救済の術はない。そこへ、以前に姿を消したイリミアーシュが帰ってくるという。彼の言葉を信用して新たな土地に出ていくのだが、彼もまた権力機構に操られていた。非条理な世界とそこで翻弄される人々たち。
印象的だったのは真っ直ぐな道をどこまでも歩いていくシーンだった。それは映画の中で重要な役割を持った者たちだ。イリミアーシュとペトリナ、少女エシュティケ、フタキ、医師だ。物語(あるとすればだが)の主人公的なイリミアーシュたちが強い風に紙屑やゴミが飛んでいく道を歩くシーンは二度出てくる。西部劇にでてきそうなシーンだが、ここは(変な言い方になるが)サービスカットとでも言えそうなくらいイメージに残りやすい。一番気に入ったのは終盤フタキがみんなと別れて一人、不自由な足で真っ直ぐな道を見えなくなるまで歩いていく場面だ。ここに唯一、希望があるように思えた。
また、人物がじっと動かない場面や、人物の背中からのショットも多く長く、興味深い。
少しコケティッシュな魅力もあるエシュティケを演じた少女は、「ニーチェの馬」で娘役で出ている。






  




by pprivateeye | 2020-02-11 00:32 | 映画 | Comments(0)