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アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ

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2019年5月8日(水)

☆早稲田松竹:アラン・ロブ=グリエ監督特集
 5/6 「囚われの美女」(1983年)
     「嘘をつく男」(1968年)
 5/7 「エデン、その後」(1970年)
     「快楽の漸進的横滑り」(1974年)
 5/8 「不滅の女」(1963年)
     「ヨーロッパ横断特急」(1966年)

この特集は昨年11月に渋谷のイメージフォーラムで上映されたものと同じで、イメージフォーラムでは今年1月にアンコール、さらに再アンコールとあったのだがどれひとつとして観に行けなかった。なので今回の早稲田松竹での上映は有難かった。
アラン・ロブ=グリエの名前はまず、アラン・レネ監督の映画「去年マリエンバートで」の脚本を書いていた人ということで覚えていた。この映画は記憶と実際に起こったことが各人で食い違い、観る者は混乱に陥るのだが、アラン・ロブ=グリエ自身が監督をした上記の映画でも虚と実が入り乱れ、さらに退廃的なムードやユーモアあるいは青春的なものが少しずつ加わって、最後まで展開が読めないものとなっている。「囚われの美女」ではマグリットの絵が出てくるが、まさに彼の絵の世界のようなイメージだ。
6本のうちでは「ヨーロッパ横断特急」が面白かった。監督自身がストーリーを考える場面が出てきて、その通りの展開になったり、出演者が役者の演技をするようなシーンがあったり、いわゆる「メタ的」な要素がふんだんに見られた。また。麻薬の運び屋という展開が007シリーズのパロディのようにも思えた。
もうひとつは「エデン、その後」。これは青春映画といってよさそうだ。前半は大学の喫茶室ようなところで、そこはモンドリアンの絵のようなデザイン・配置になっている。そこで学生たちの観念的なお遊びが続いている。後半はチュニジアの青い空と海に場面が移る。何といっても中心人物のヴィオレット役のカトリーヌ・ジュールダンが金髪ベリーショートカットなのが大変よろしい。フランス映画で金髪ショートといえばゴダール「勝手にしやがれ」のジーン・セバーグだけど、レオス・カラックス「ボーイ・ミーツ・ガール」でミレーユ・ペリエが本を読んでいるのだが本に隠れてなかなか顔が見れない、そのシーンが好きだ(下のおまけ)。
そのほかの出演者で印象に残ったのは「ヨーロッパ横断特急」で警察官、「囚われの美女」で刑事を演じたダニエル・エルミフォーク。細身で禿げ頭、鼻が目に付き、超低音で話すのは強烈だ。主演ではなくチョイ役に近い脇役がぴったりだ。「快楽の漸進的横滑り」の予審判事役のマイケル・ロンズデールもどこかで見たぞと思わせるし、「ヨーロッパ横断特急」のエヴァを演じたマリー=フランス・ピジュはフランソワ・トリュフォーの映画にも出ていて、どこか思わせぶりな演じ方が女性にしては少し低音の声とともに似合っている。

 






レオス・カラックス「ボーイ・ミーツ・ガール」より
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by pprivateeye | 2019-05-08 23:23 | 映画

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye