人気ブログランキング | 話題のタグを見る

自然の中のエネルギー

自然の中のエネルギー_f0067724_15384946.jpg


1月9日(金)

・市川恵美写真展「日日の木(にちにちのき)」、銀座ニコンサロン
地元の一本の木を定点的に撮影。構成がよかった。最初の1枚は現在の状況で、2枚目からは言ってみれば過去の回想であり、最後に再び現在に戻ってきて、大きな円環が閉じる。まるで小説のようだ。途中には台風で木の根元まで水につかったり、写真を撮り始めたときは予想もしていなかった木が倒れてしまうという出来事など、波乱に富んだドラマがある。そしてそれまでは観察者であり傍観者でもあった作者が、数本の木の枝をバケツに入れて育てようとすることで当事者になっていく。その3年間は孫が二人できた時間でもあった。


・渡辺眸写真展「東大1968-1969 ―封鎖の内側」、ZEN FOTO GALLERY
当時TVの報道で東大の安田講堂に放水車から何本もの水が放水されているのを見た。もしかしたらそれは後日目にしたニュースかもしれない。その直前の安田講堂のバリケードの中を撮影した作品。北井一夫さんも日大闘争の際に同じ状況を撮影しているが、こちらのほうがより政治を感じさせる。それをいま見ると複雑な気持ちにもなる。バリケードの中にいた人たちのほとんどはいわばエリートでその後の日本を作っていった人たちだ。打倒日帝と反体制を叫んでいる夢物語のようにも思える。


・渡部さとる写真展「prana」、ギャラリー冬青
北海道、出雲、屋久島などで撮影。タイトルの「prana」はサンスクリット語で風を意味し、自然の中のエネルギーを強く感じことがあるとのこと。二種類の印画紙が使われており、その印象が大きく異なるのに驚いた。印画紙のトーンにあったイメージを選んでプリントしているとのことだが、ウォームトーンの作品に惹かれる。2Bのグループ展の際ルデコで展示されていた屋久島の鹿の作品は、そのときはもののけ姫のような状況と青みがかったトーンとがしっくりこなかったが、今回はウォームトーンでプリントされその立体感に圧倒される。展示されているなかで一番好きな作品だ。
by pprivateeye | 2015-01-13 15:14

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye