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表参道ラッシュ

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5月31日(土)

・「日本写真協会賞受賞作品展」作家賞・上田義彦、須田一政、富士フイルム・フォトサロン
上田さんの作品は「Quinault」「Materia」「M.Sea」がそれぞれ2点、「M.River」が3枚一組。須田さんは「物草拾遺」「凪の片」それぞれ12点。このなかでは「物草拾遺」が好きだな。逆に「M.River」はどうかなと思った。ピントがなくボンヤリとした光りと色だけの同じような作品を他の人が作った場合、上田さんを始め偉い人たちはどういう評価をするのだろうか。
百々俊二さんの書いた受賞理由のなかに黒沼康一さんから上田さんが学んだという言葉があり、良かったのでメモった。“自己表現に終始する回路を断て、写真は閉塞した感性を脅かす凶器のようなもの、見たいのはきみの写真ではなく、きみの写真が開示する世界なのです。”


・川内倫子×テリ・ワイフェンバック「Gift」、IMA concept store
世代は少し違うが交流があるらしい。川内さんはスクエア・フォーマットを止めたのかな。二人とも似ている。ともに身の回りのものに対する生命観といったものがコンセプトのようだ。30万とかいった価格を見たせいか、あまり関心を引かなかった。この後、ブリッツ・ギャラリーでのテリ・ワイフェンバック展を見に行こうと思っていたのだがもういいやと思ってしまった。


・尾高敬写真展「fabric」、MUSEE F
写真仲間がFBで一週間しか展示期間がないのはおしい、と書いていたので久しぶりに訪れた。4×5のモノクロで岩肌を撮影、デジタル出力。昼間のフラットな光りを選んでほぼ正面から撮影しているので、スケール感とか立体感がわからなくなる。タイトルは建物、構造物の他に織物、織り具合といった意味もあり、作者は後者の意味で付けたとのこと。グレー中心のプリントだったが、黒くも白くも焼けそうだった。だがそうするとまた別の意味合いが出てきそうだ。今日観た展示の中では一番好きな作品だ。


・金子隆一企画「幻の前衛写真家――大西茂」展、表参道画廊
1960年頃活動した作家らしい。多重露光や多重露出、他にもいろいろな操作をして作品を制作している。こういったいわゆる前衛的な作品は、作者が何を見せたいのかよくわからないので、あまり引き込まれることはないなあ。


・日蘭交流写真展「"Keep On Dreaming" Amsterdam in Tokyo」、シリウス
これも写真仲間がFBに書いていたので見に行ってみた。なるほどオランダではこんな写真が多いのかと思って見ていた。いくつかイメージを加工して新たなイメージを作ろうとしているようだ。その意味では前衛写真と似ているのかな。もしくは広告写真に近い。人物が必ず写っているのも、関心は人間にあるということなのだろう。ただし、その人間は単なる対象物以上のものには見えない。冬のアムステルダムを撮った普通の写真も数点あり、これとイメージを加工した写真を比べると、普通の写真のほうが何度もいつまでも見たくなる。白岡さんが口癖のように言う「普通の写真が一番いい」という実例になっているような気がする。
by pprivateeye | 2014-06-02 19:27

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye