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写真表現とはある世界の提示かと思う。

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2月5日(水)

・湯沢英治写真展「REAL BONES G2」、72 Gallery
動物の骨をモノクロで撮影。DMになったコブラなど、背骨と肋骨(?)のパターンが美しい。写真集の中に雄鹿の頭部の写真があるが、長く伸びた2本の角は異様だ。浦沢直樹の「PLUTO」を連想した。大アリクイの口から背骨、尾の先まできれいに曲線を描いているのがいい。

・PHOTOGRAPHER HAL写真展「雜乱」、銀座ニコンサロン
男女2人が真空パックの中に入っているのはこれまでと同じだが、今回は2人の愛する身の回りの物もいっしょに閉じ込められている。以前の浴槽とか、2人だけで真空パックとかよりも生活がいっしょに閉じ込められているので面白く、細かなところまで見てしまう。酒ビンといっしょのカットが2つあったがひとつは日本人で焼酎のビンが、もうひとつは西洋人で洋酒のビンというもの笑ってしまった。太宰治「人間失格」新潮文庫が2つあった。見る順路が示してあり、なぜかと思ったが、終盤、作品のサイズが次第に小さくなっていく。最後にキャプションで、ブラックホールがあらゆる物を引きつけることになぞらえたり、2人と愛する物たちを胎児のメタファのように捉えている。次第に小さくなり、胎児に還るという動きがこの展示なら、いずれその逆の展開――それは誕生、ビッグバンか――も考えられる。

・黑田菜月 展「けはいをひめてる」、Guardian Garden
カラー、6×7もしくはデジタル。力が抜けているが一定の緊張感のある作品だった。少し引いた風景(公園など)がいい。6×7で、それもRZを使って真似てみたいと思った。写真家鈴木理策さんのテキストもよかった。

・ルネ・ブリ写真展、ライカギャラリー東京
モノクロ、35mm。被写体の人物や場所の名前や撮影年、自身のサインが入っているが、この展示のためのプリントだろうな。きれいだけれど完璧なくらいトーンが揃っていて、それがかえって不自然に思えた。葉巻をくわえたチェ・ゲバラの有名な写真はこの人の作品だった。一番よかったのはDMにもなっている、市街電車の向こう側に女性が見える作品だな。

・第7回ノン・ライツRF友の会/新宿西口写真修練会写真展「楽しい写真は世界を救う」、JCIIクラブ25
いつものように好きなレンズで好きなように撮っている。大澤さんは毎回レンズのテイストを味わうような作品だが、絞り開放での撮影の難しさがうかがわれた。谷さんはSONY α7Rに映画用レンズで大伸ばしの作品。タテ位置の写真なのに映画のスクリーンのような印象を受けるのは思いすごしだろうか。

・「――古写真に見る明治の東京――下谷区編」展、JCIIフォトサロン
下谷区は上野界隈。上野公園にも大仏像があったとは知らなかった。その顔は鼻や目が大きく、どこか愛敬がある。建物や風俗を撮ったものは見ていて興味深いが、柳と不忍池といったアート的な写真は案外つまらない。アートをしていても歴史には残らないということか。





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by pprivateeye | 2014-02-06 16:18

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye