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早稲田松竹で「ブリキの太鼓」「バグダッド・カフェ」を観る。

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1月21日(火)

・「ブリキの太鼓 ディレクターズ・カット」
原作はドイツの作家ギュンター・グラスが1959年に発表した同題の小説。ウィキペディアには、第二次世界大戦後のドイツ文学における最も重要な作品の一つに数えられる、と出ている。小説は少し前に読んでいるのだが、訳が固いのか原文自体がそうなのかわからないが、読みにくくそのせいか何を言いたいのかよくわからなかった。後にグラスが戦中、ナチに関係していたことを告白してニュースになったほどだから重要な作家ではあるようだ。
映画は1979年にフォルカー・シュレンドルフによってつくられている。今回初めて観るのだが基本的に小説に忠実に作られていると思う。しかし映像になってもわからないものはわからない。たとえば、馬の首でウナギを獲るシーンはそれ自体結構グロテスクなのだが、どういう意味・象徴があるのか。一方で、1939年9月1日の意味はわかりすぎるくらいだ。ドイツがポーランドに侵攻した日だ。
戦争や大人の日常のいいかげんさ等々ということを描いていると言っていいのだと思うが、それは子供のまま成長しない主人公にも当てはまるのではないだろうか。

・「バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版」
1987年に西ドイツで制作された映画だが、舞台はラスヴェガスの近くの砂漠の中にあるうらぶれたモーテル兼カフェ兼ガソリンスタンドだ。監督はパーシー・アドロン。
カフェの女将ブレンダを演じたCCH・パウンダーがよかった。旦那は甲斐性がなく子供は遊び回っていて、終始イライラしている。しかし、仕草や行動におかしさがあっていい。
太ったドイツ人女性のジャスミン役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトも前半はあまりしゃべらず、それが何かありそうな雰囲気を出していた。
この二人の衝突、といってもブレンダが一方的にジャスミンにイラつくのだが、それを描いた前半は緊張感があってよかったのだが、仲がよくなった後半は単なるハッピーなお話でいまひとつ感心しなかった。ジャスミンがいなくなってからバーテンダー(?)が「マジックは消えた」と言ったセリフはかっこいい。
あと、ブレンダが警官を呼ぶのだが、その警官がアメリカン・インディアン系で髪を伸ばしておさげにしている。その少々怪しい感じの警官が、ジャスミンの正確な名前(シャなんとかスキー、みたいな名前。自分も覚えきれなかった)を一度聞いただけで復唱するところなど知性を感じさせる描き方だと思う。






  



by pprivateeye | 2014-01-21 23:03 | 映画

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye