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山 2

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2017年2月28日(火)

以前に書いた「山」はこちら

雪国ではないので冬になっても多くて二、三度雪が積もる程度ですぐに融けてしまうことがほとんどだ。それでも山は白くなる。家のある集落から離れて周囲が田んぼや畑のところで山々の連なりを見ていると、変な言い方だが妙に実在感がある。大地が隆起して山脈を形成したという知識があるせいか、これが日本列島の一部なんだ、地球の表面なんだ、という感覚を覚えることがある。それは、当然だがスケールが大きく、気持ちの良い感じだ。

そんな風景をどこか他でも見たような感じがして少し考えて思い至ったのが、写真家畠山直哉さんが撮影した津波の後の故郷・陸前髙田の写真だ。海の近くの河口側とはいえ、山が近く、津波のために大地が目の当りに見える風景は、自分が「山」を見たときの感覚に似ている。家とか電柱とかの人工物は邪魔なもの一時的なもので、木や草が生い茂り、川が流れ、丘や山があるのが本来の姿、地球の表面だ、という感覚。

「山」についてもうひとつの感覚がある。写真家の渡部さとるさんの『旅するカメラ3』に「山の向こう側」というエッセイがある。故郷は山に囲まれた米沢だが、小学校2年生のときにその先にも世界があると知って、山の向こう側に行こうと山に向かって歩き始めた。しかし山道に入ってしばらくして進めそうになくなった。このまま米沢で一生を送るのだと観念した、という内容だ。この「山」への感覚が自分は正反対なのだ。小さなときから見てきた山は乗り越えていくべきものではなく、常に背後にあるものだった。だから山の向こう側はほとんど想像したことがない。伊勢平野の北部にある山の近く住んでいる者にとって、都会へ出るということは南に下っていくことで、それは海に向かっていくことでもあった。海の近くに出て、川を渡れば名古屋という大都会でさらにその向こうは東京につながっている。




  
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# by pprivateeye | 2017-02-28 23:56 | Self Portrait | Comments(0)

3ヵ月前はあんなにキラキラしていたのに・・・

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2017年2月17日(金)

・井津健郎写真展「SEDUCTION OF PEAR 洋梨の誘惑」、gallery bauhaus
1Fがスコットランドのスペイ・サイドの風景、B1が洋梨の静物写真。スペイ・サイドのほうが断然いい、好みだ。シングルモルト・ウィスキーについての本を読むと必ず出てくるのがスペイ川で、サーモンのフライフィッシングでも有名だ。確かミステリ小説でも出てきたような気がする。イギリスも日本と同様島国なのに、広がる平原を見るとなぜだか大きな国だと錯覚してしまう。洋梨は形が特異であり、そのスティル写真が30点も並んでいるのを見ると少々飽きてしまう。最初の面白いと感じた印象が消えてしまう。

・有野永霧写真展「日本人景 ビニール」、銀座ニコンサロン
農地などで使われているビニールハウスやカバーなどをモノクロで撮影。コントラストの強いプリントだ。ビニールは破れていたり、すでに放棄された場所だったりする。人間と自然の戦いという捉え方が底の浅いもののように思えた。

・普後均写真展「肉体と鉄棒」、ときの忘れもの
タイトルの印象から旧作だと勝手に思っていたら、撮影は2013年頃から、プリントは2016年とまったくの新作だった。鉄棒を発注し、そこにぶら下がったヌード、電灯や氷といったモノ、かたつむりなど、いろいろ。あるひとつの場所にいろいろなものが表れるというのは、以前の「ON THE CIRCLE」の別バージョンともいえそうだ。ファイルに入れられたキャプションを読むと、作者はユーモアも意識しているようだ。もうひとつのテキストはほんど何も言っておらず、こんな写真評で代表的な写真評論家と呼んでいいのだろうか。





  
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# by pprivateeye | 2017-02-18 22:26 | Comments(1)

乃木坂は雪

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2017年2月10日(金)

・柴田敏雄写真展「31 Contact prints」、gallery ART UNLIMITED
4×5のカラーのコンタクト・プリントの展示。作者の言葉として「コンタクトプリントはフィルムのままの大きさで、自分が撮影したありのままが現れる。それ以上でもそれ以下でもない、必要十分な要素が含まれている。引き伸ばすことなく、並べてみることに、今、魅力を感じているのだ。」というのがあった。確かにそうなんだけど、ずるいという気持ちも多少あるw というのは35mmではなく、4×5のコンタクトだ。そこにはセレクトという行為が可能になる。でも作者の言葉を素直に捉えたい。特に後半の「引き伸ばすことなく、並べてみることに、今、魅力を感じているのだ。」というところは正直な気持ちだと思う。で、コンタクトを見ての感想は、完璧だということ。今回の展示は新作ばかりだが、これまでの作品もトリミングをしていないというのがよくわかる。ギャラリーの人の話ではそんなに厳密に構図を考えているわけではなく、撮る枚数もわずかとのこと。100×120mmの巨大なマットの中央に4×5のコンタクトが1点だけという作品が2つあった。柴田さんのアイデアだそうで、ここは笑うところですと柴田さんが言っていました、とギャラリーの人。それを聴く前に笑っていた。あと思ったのは、フィルムはまったり、ねっとり、ゆったり、穏やかだなということ。それは日本の風景だからかもしれないし、作者が日本人だからかもしれない、ということも。


ギャラリーを出てGoogle Mapさんを確認していたら雪が降り始めた。国立新美術館の横から在日米軍施設の前を通って外苑西通りに出るまでずっと降っていた。たまたまこの日はフードの付いたダウンジャケットだったので助かった。いつもはまず歩かないコースでしかも雪が降っていたので何度もG2のシャッターを切っていた。


・「monochrome ⅩⅣ Shadow」、gallery E・M 西麻布
恒例のモノクローム展14回目。テーマが影なのでベタだなと訪れる前は思っていたが、予想以上に各作品がよかったので一点一点を見ている時間が長かった。お気に入りは中島秀雄さんと原直久さんの作品で、共に8×10で撮影し大伸ばしされたもの。中島さんはスクリューのプロペラらしいが不思議な表面のテーブルのように思えた。原さんは取り壊された二軒の家の後が壁に残っているもの。かつてあったものの痕跡だがまだ魂は残っているというような作品だ。不思議だったのは中道順詩さんで、空が黒く落ちてグレーはソラリゼーションっぽくなっていた。フィルターとかプリントに秘密がありそうだ。



   
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# by pprivateeye | 2017-02-12 23:10 | Comments(0)

初K's cinema

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2017年2月7日(火)

新宿三丁目にある航海屋というラーメン屋さんに行く。FBにあがっていた写真を見て感想を述べたら、ぜひ召し上がってくださいとの返事があったので、Google Mapに店の名前を入れただけで検索して行ってみた。なんだ以前一度来たことがあるところじゃない。迷ったけどチャーシューメンを注文。スープはすっきりしていていい感じだが、肝心のチャーシューが薄くて物足りなかった。麺はややもっちりした感じ。

腹ごなしをしてから、初のK's cinemaへ。ここでもGoogle Mapにお世話になる。ビックロ裏の甲州街道寄りの飲食店などの多い界隈で、それなりに歩いたことのある場所だがすぐには見つからず。ここだよなあと上を見上げたらグレーのロゴが見えた。今回はデヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」が目当て。整理券方式で、4番目だった。

開演まで時間があるので、腕時計のベルト交換に紀伊國屋書店向かいのWATCH館へ行く。家でベルトが外れてしまい、どうしても一コマ見つからないのでやむなく新しいものにするのだが、メタルで22mmってほとんど選択肢がない。少し待って会計。で、このとき初めてこのWATCH館がLAOXになっていることに気付いた。以前はさくらやで、その後BICカメラだったのに。

さて、「ジギー・スターダスト」は15:00から上映。観客は20人くらいかな。左右前後の席に人がいなくてゆっくりと観れた。
映画は1973年7月3日、ロンドンのハマースミス・オデオンでのツアー最終公演の模様を撮影したもの。このコンサートでボウイは自身のバンドを解散させる。グラム・ロックを葬り去った、と言われているらしい。というのは、そもそもデヴィッド・ボウイの熱心なファンではないので、そのあたりの事情には疎い。実はビッグネームだがどうしても好みにはならなかった人が数名いる。デヴィッド・ボウイもそうだが、プリンス、マイケル・ジャクソン、マドンナ、ブルース・スプリングスティーンらがそうだ。グラム・ロックといえばT・Rexのほうが印象が強いが、ベスト・アルバムを1枚持っているくらいだ。ボウイは随分後に買った「ジギー・スターダスト The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars」だけ持っている。
劇場公開は18年ぶりとのことで、今回は全曲に歌詞の字幕が入っている。しかし、知っている曲がないので申し訳ないがワクワクすることはなかった。ファンではないのでステージよりも楽屋や開場前の外の状況のほうが興味深い。ハマースミス・オデオンにはマイルス・デイヴィスも出てたな、そのブートレグも持っているはずだぞ、などと思いながら見ていた。
でもデヴィッド・ボウイには関心があるので、ドキュメンタリー映画の「デヴィッド・ボウイ・イズ」は観たし、K's cinemaのロビーには「戦場のメリークリスマス」のスチール写真や、いろいろなポスターなどが掲示されていて楽しく見ていた。この上の写真もそうだ。撮影は鋤田正義さんじゃなかったかな。






  
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# by pprivateeye | 2017-02-09 00:27 | 映画 | Comments(0)

写真と虚構について、チラッと思う。

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2017年2月3日(金)

・カール・ラガーフェルド写真展「太陽の宮殿 ヴェルサイユの光と影」、CHANEL NEXUS HALL
フランス語のタイトルは「VERSAILLES A L'ombre du Soleil」なので、日本語タイトルの「光と影」ではなく「太陽の陰で」のほうが意味としては正しく、また写真もそういったものだった。何より作者がこの場所は過去のものと言っている。太陽という言葉の持つ明るさよりも過ぎ去ったものとして撮影されている。通路を形作る生垣が高く濃いので、地面の白い砂とのコントラストが強くて黒くつぶれている。案外そこに闇が潜んでいるのではないだろうか。

・鈴木篤男写真展「風 砂 人(防潮堤)」、銀座ニコンサロン
浜名湖近くの遠州灘の海岸沿いに防潮堤を作る工事が始められており、そのドキュメント的な写真。最初はコントラストのないプリントだなと思いながら見ていたが、工事そのものよりも砂丘(砂浜)の写真に見えてきて、コントラストの低さが逆に砂の白さにつながってきた。

・大橋英児写真展「Existence of」、epSITE
路上の自動販売機シリーズのカラー版。モノクロと同時に撮影しているとのこと。カラーになることで自販機の存在感が強くなるが、大きなプリントなので何度か見ているうちに周囲の景色も気になってくる。もしかしたら一番無個性なのは自販機のディスプレイの箇所かもしれない。

・藤原香織写真展「森を見る 森から見る」、新宿ニコンサロン juna21
東京の神社を撮影して、調べると縄文時代の遺跡と重なることが多かった。神社と遺跡とは時代的にもかなり離れているが、そこにつながりがあることに聖的なものを感じるという。神社のある風景だが、神社そのものを撮っていないのがいい。

・小野淳也写真展「瞬きもせずに」、新宿ニコンサロン juna21
キャプションには作者と祖父との関係が書かれていた。アルツハイマー発症や老齢のために入院し、そのことで祖父と関連のある風景を撮影、とある。しかし、それは日常、普通にある風景だけだ。果たしてキャプションや写真は真実だろうか。どちらか片方、あるいは両方ともフィクションであってもおかしくない。







  
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# by pprivateeye | 2017-02-06 22:02 | Comments(0)