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杉本博司

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2015年11月22日(日)

・開館20周年記念展 杉本博司「趣味と芸術-味占郷/今昔三部作」、千葉市美術館
写真展が「今昔三部作」で、「趣味と芸術-味占郷」は杉本さんが収集した古美術品を独自の方法で展示したもの。

「今昔三部作」は海景、劇場、ジオラマの三つのシリーズだが、それぞれ6点、7点、3点と展示点数は少ない。新作は劇場が1点、ジオラマが2点。
点数は少ないのだが、写真撮影OKで何度も出たり入ったりして面白かった。
やはり好きなのは「海景」だな。改めてピントの位置は手前1/3のところにあると確認。水平線はボンヤリとしている。気になるのはシャッタースピードだが、ピントがわかるので極端なスローシャッターではないと思う。他のシリーズと比べると物語性が一番低いと思う。それだけに見る側が勝手に意味を込めたりする余地が大きい。それは人によっても違うだろうし、見るときの状況や気分でも異なってくる。

「趣味と芸術-味占郷」では掛け軸と置物(?)との組み合わせが面白かった。古いものだけでなく、現代作家のものや自分で作ったものもある。月面写真やレンブラントのエッチングを掛け軸したり、ゆで卵器なんていうものもあった。

この日は別フロアで映画「SUGIMOTONO」の上映もあった。先着順、無料。
ジオラマの撮影風景、暗室作業などのシーンが興味深かった。
杉本さんが話すことは、これまでいろんな人から聞かされてきたことと同じだ。写真の何を見せたいのかとか、ストレート焼けるネガがいいネガとか、etc.
また、基本的にすべて自分でやる。アシスタントがいるがそれは一人ではできないことがあるので補助してもらうという感覚。道具も自分が使いやすいように作る。このあたりを見ていて白岡さんと同じだなあと思った。

今回の展示やこの映画では特に触れていないが、杉本さんの大きなテーマとして「時間」がある。「海景」の説明では太古の人が見ていたであろう海を再現したいとか、「歴史の歴史」というタイトルで展示をしたり、劇場は映画1本分の露光だし、ジオラマは地球の歴史だし、蝋人形は歴史に残る人物だし、アウトフォーカスの建物も将来の崩壊を見ているようで時間の要素がある。古美術もいま現在こうやって見ると面白いよね、というのがある。

それ以上に好きなところは虚構と実際を行き来する、メタ・フィクション的な思考だ。
下記の言葉は、2006年に森美術館で開催された「杉本博司:時間の終わり」展で掲示されていたものだ。このブログを開始する際にも引用させてもらっている。
I had found a way to see the world as a camera dose.
However fake the subject, once photografed, it's as good as real.
わたしは、カメラのように世界を眺める方法を発見した。
どんな虚像でも、一度写真に撮ってしまえば、実像になるのだ。


今回上映された映画

SUGIMOTO [DVD]

Ufer! Art Documentary



海景の撮影風景のシーンがある。

HIROSHI SUGIMOTO : VISIONS IN MY MIND [DVD]

Ufer! Art Documentary



映画館で上映されたもの

はじまりの記憶 杉本博司 [DVD]

角川書店


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by pprivateeye | 2015-11-24 01:34 | Comments(0)

必然的な「私写真」は強い。

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2015年11月21日(土)

・横内香子写真展「うたたね -catnap -」、アユミギャラリー
猫の写真。自宅の生後1週間から撮影したものがいい。特にカーテンに隠れて下半身しか見えないもの。他は猫のポートレートで、猫好きには楽しいかもしれないが写真的には面白みが少なかった。

・中島恵美子写真展「Pandora」、ルーニイ
「私写真」と言ったら、そうですとの応え。中島さん自身の生活で大きな変化があったらしく(具体的には尋ねていない)、これまでの旅写真ではなく、身辺および心象的な写真で構成したとのこと。それはほぼ必然だったようだ。

・広瀬耕平写真展「欲視録」、TOTEM POLE
モノクロのネガに薬品を塗布して煙か雲のような模様を作っている。Photoshopで加工したり、プリントにペイントするのは嫌だった。元の写真が十分いいと思うので加工する必要はないのではないか。その旨を話すと、それなら焼き込みをしなければならず違った写真になってしまうとの返答。ストレートにプリントするという発想はないのかな。

・森山大道写真展「記録」、Place M & RED Photo Gallery
Place Mがモノクロ、RED Photo Galleryがカラーの作品。冊子「記録」からのセレクト。冊子の段階で写真の加工のやり方が異なっているので、展示作品もザラザラ感のあるものからツルッとしたものまで混ざっている。好みは、壁の曲がり角に展示されている、ヨーロッパの通りで右に人形、左にサングラスの男性が写っているものと、入室してすぐ右手の壁にある、カラスがゴミ袋に群がっているもの。

・染谷學写真展「艪」、蒼穹舎
今回は135のモノクロ。レンズは35mmのみ。スクエアとの使い分けは気分的なもの。比べると、スクエアのほうがぎゅっと詰まっている感じで重苦しいが、135はフワッとした感じで軽い。人によっては135は物足りないかもしれない。撮っているものは同じとのことだが、今回のほうがやや引き気味のカットが多いような印象。モノよりも状況ということか。
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by pprivateeye | 2015-11-24 00:26 | Comments(0)

「FOUJITA」

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2015年11月20日(金)

ユーロスペースで小栗康平監督「FOUJITA」を観る。
この映画は画家・藤田嗣治の生涯をドキュメンタリーのように描いたものではない。
大きく前後半に分かれる二部構成となっている。前半は1920年代のパリ、後半は1940年代の戦時中の日本。そのなかで当時のエピソードがさりげなく挿入されている。ピカソが藤田の新作を見に来たり、騒々しいカフェの片隅で静かに絵を描いているのはモディリアーニだろう。マン・レイのモデルだったキキやパパと呼ばれたヘミングウェイもいる。そういえばカフェにモディリアーニの絵が掛けてあった。全体的に場面は断片的で、ストーリーは時代の流れくらいだ。
この二つの構成というのは時代や場所に限らない。パリ時代の藤田の絵は浮世絵のように輪郭を持った平板な人物像だが、日本の戦争画では西洋絵画の伝統に忠実に則っている。パリでのあだ名が「フーフー(FouFou)」、これはフランス語で「お調子者」を意味する。実際、エキセントリックなところもあったようだ。そして日本では一転して静かな口調で語る人物として描かれている。
映画はこの「捻じれ」のようなものを描きたかったのではないだろうかという気がしてきた。それは明治以降の日本および日本人全体にも当てはまるものではないか。
監督の小栗康平の名前だけは聞いたことがあった。「泥の河」といういい映画を撮っているらしい。実は早稲田松竹でつい最近観る機会があったのだが見逃してしまっていた。
主演はオダギリジョー。写真で見る普段の姿はロンゲでヒゲをはやしており、はっきりいって嫌いなタイプ。しかし、この映画ではおかっぱ頭の藤田にそっくりで、きれいだ。それに色気がある。それからすると、いい役者なんだろうなと思った。
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by pprivateeye | 2015-11-23 23:00 | 映画 | Comments(0)

ポーランド映画祭2015

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チラシで「ポーランド映画祭2015」というのがあるの知った。ポーランド映画が1週間限定で集中的に上映される。前売券の3回券だと1本1,000円になるので少しまとめて観ようと思った。チラシの紹介記事を読んで検討、結局6本観ることになった。
11/16(月)「約束の土地」
11/17(火)「エヴァは眠りたい」「イーダ」「地下水道」「サラゴサの写本」
11/18(水)「灰とダイヤモンド」

映像的に面白かったのは「イーダ」。あまり大きな動きはなく、顔を写すときでも上の空間を広く取っていた。テーマ的にはロード・ムービーであり、イーダのいくつかの決心が描かれている。
構成が複雑なのが「サラサゴの写本」。話の展開が夢の論理(夢の中で見た夢について語るといった)で二重三重の入れ子構造になっている。
「エヴァは眠りたい」はチラシの写真(上の大きな写真)からシリアスな話を想像していたが、喜劇だった。しかし、強盗が強盗に襲われさらに強盗に襲われるというオープニングからメタ・ストーリーで始まり、最後もこの映画を撮影しているシーンで終わるという、一筋縄ではいかない作りになっている。
「約束の土地」「地下水道」「灰とダイヤモンド」の三作は監督がアンジェイ・ワイダ。戦争やポーランドの歴史を描いてどれもシリアスな内容となっている。
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by pprivateeye | 2015-11-23 00:08 | 映画 | Comments(0)

志村喬

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京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターで展覧会「生誕110年 映画俳優 志村喬」が開催されていて、その関連上映で11/14(土)に「酔いどれ天使」、11/15(日)に「生きる」を観る。監督はどちらも黒澤明。料金はともに520円。

「酔いどれ天使」は三船敏郎が初めて黒澤作品に登場。いま見ても三船のヤクザはしゃれている。いわゆる百姓的なドロ臭さが全然ない。結核という病気の役のためのメイクもあるだろうが、顔立ちがシャープだ。キレキレのイメージ。後年のサッポロビールのCMは想像できない。ダンスシーンで腰を振る後姿、先輩ヤクザとの対決シーン(部屋の中での対峙、廊下でのペンキで滑るところ)がよかった。
一方、志村喬の医者・真田は反骨精神をもった熱血漢だがこれがややベタな感じだ。途中で、自分の若い頃も松永(三船)のようにやさぐれていたと話すだけで回想シーンもない。そのため松永へのこだわりも表面的なものに感じられてしまう。

「生きる」はすごいよかった。なので次を観るのをやめてしまった。ヒューマニズという言葉を使うと上っ面だけを撫ぜているような気がする。観終えたときの印象は分厚い映画だなということ。渡辺課長(志村喬)の生前と、その死後の仏壇の前での回想という構成によって、描いているものが一個人の生き方からその周囲(=社会)のあり方に変化し、批評性が前面に出てきている。また印象的なシーンもいくつかある。最後のブランコで「ゴンドラの唄」をくちずさむシーンは有名だが、それまでの話の展開からすれば予想通りという感じだ(キャバレー?ですでに歌っている)。好きなのは居酒屋で渡辺が小説家と話すシーンだ。小説家の後ろから撮って暗い片隅に渡辺の顔が見えたり、あるいは小説家が梁に両手をかけて渡辺を覆い尽くそうとしているように見えるところなど。またこれも有名だが、喫茶店で決心した渡辺が階段を駆け下りるとき隣の客たちがハッピーバースデーを歌うのが重なるシーンもいい。葬儀を終えた後の仏壇の前では酒が入るにつれて役人たちの本音が出てきて、さらに進むと口先だけで褒め合うところなど、いま現在のドラマを見ているようだ。

志村喬が出演した映画は9月から上映されており、全然気付かなかったのは残念だ。「七人の侍」や「ゴジラ」もあったが、「羅生門」はなし。金井美恵子が書いていたので「鴛鴦歌合戦」は観たかった。
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by pprivateeye | 2015-11-21 01:37 | 映画 | Comments(0)

白と黒

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2015年11月13日(金)

・Ricarda Roggan「SPOT」、ANDO GALLERY
TAPへの途中で通りがかりに入る。美術館などにある映像の小部屋を撮ったカラーと、拾ってきたような何でもないものを物撮りしたモノクロの二種類の作品。タイトルからしてそれらにあたるスポットライトについての“何か”なのだろう。

・野尻浩行写真展「思川」、TAp Gallery
いつものように美しい写真。グレーを中心にハイライトからシャドーまで全部見える。それでいてゾーン・システムのような頭でっかちの感覚はない。地元の何でもない風景を何でもないように撮影しているだけだ。

・「4 LIFE vol.15」(北田竹美、原田龍二、本田光、前田和也)、PIPPO
4人ともモノクロの作品(一部カラーあり)。雪の日に高いところから道路を俯瞰した写真が一番の好み。

・下平竜矢写真展「星霜連関」、新宿ニコンサロン
このシリーズがようやくニコンで展示か、という感覚がある。下平さんの作品を初めて見たのは12年前のニエプスで、いま思えばあまりきれいなプリントではないけれどもどこか惹かれるものがあった。それ以降、展示があるときは努めて見に行くようにしている。今回の展示は少し前のZEN FOTOでのものと同じなのだが、サイズが大きくなっており、全体に艶めかしさ、まろやかさ、柔らかさ、色っぽさといった言葉で表されるものを感じた。

・鎌形路子写真展「白を掬う」、ギャラリー冬青
白いプリント。サイズは予想に反して六つ切りと小さなものだった。ちょうどいま自分の水平線の写真を焼き直しているところなので、作者にプリントのことでいろいろと尋ねてしまった。撮影は適正露出で、プリントの際に白くしている。しかし、白くプリントすることが前提なので、できれば空は薄曇りがいい。コントラストはフィルターなしと5号との組み合わせ、といったことなど。
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by pprivateeye | 2015-11-15 03:23 | Comments(0)

女優

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2015年11月4日(水)

☆ヒューマントラストシネマ有楽町で「アクトレス~女たちの舞台」を観る。水曜サービスデーで¥1,100。
原題の“Silis Maria”はロケが行われたスイスの地名。
監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ジュリエット・ビノッシュ、クリスティン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツ
いわゆる劇中劇の構造だが、虚構が現実を予告するような展開。
ジュリエット・ビノッシュのおばさん体形は実際の年齢を反映しており、さらに映画の中の役にも合っており、悲しくも納得のいくものだった。
女優3人とも良かったが、特に秘書役のクリスティン・スチュワートが一番いい。ビノッシュが役作りについて悩むことを、実際の役の中で感じてしまっている。そして突然失踪するのだが、それも舞台でのストーリーをなぞっているようだ。
クロエ・グレース・モレッツは小生意気な若手女優の役、その話し方が、見た目の印象とぴったりだった。
スマホやタブレットでググったりする場面がよく出てくるが、それはまさに今現在の世界を反映してリアルだ。10年後にこれらのシーンがどのように見えるのだろうか。
「マローヤのヘビ」とは、止めることのできない時間の流れを象徴しているのだろうか。


☆イメージフォーラムで「氷の花火――山口小夜子」を観る。会員¥1,100。
監督:松本貴子
女性客が多かった。映画好きというよりも山口小夜子ファンという印象。
映画は山口小夜子の活動がかなり細かく描かれていて、東京都現代美術館での展示よりも良かった。現美では彼女を撮影した写真家とか、広告のモデルのポスターなど、作品が中心だったように思う。この映画では山口小夜子という人がどんな人物だったのか、どんなことを考えていたのかといったことを描こうとしていて、本人がより強く感じられた。
ただ、タイトルはいかがなものか。氷という言葉を使ったのは短絡的、表層的のような気がする。
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by pprivateeye | 2015-11-10 00:37 | 映画 | Comments(0)

ルデコ・ジャック

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2015年11月3日(火)文化の日

WS2B関係のグループ写真展がギャラリー・ルデコでの展示を占めた。
 6F 33、34期OBOG「和音」
 5F 42、43、45期OB「sense(s)」
 3F 48期「W2B48」
 2F 47期「47th-THE PRIME NUMBER」
2F、3Fはワークショップが終わってからの修了展。

やはりモノクロのきれいなプリントに惹かれる。雰囲気ではなく対象をきちんと捉えているもの、見せたいところ主題となるところにピントが来ているものがいい。気持ちよく見ることができる。そして、作者のコンセプト(思考、考えていること)が明確だと、興味が深まる。

ルデコは来年の建て替えが決まっており、このギャラリーでの2Bのグループ展は今回が最後となる。
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by pprivateeye | 2015-11-09 04:02 | Comments(0)

30年経つとスナップは面白い。

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2015年10月31日(土)

・グループ「柔視」写真展「asterisque Ⅹ」、ルーニイ
ピンホールカメラ、ゼラチン・シルバープリント、プラチナ・パラジウム・プリント、サイアノタイプ、アートエマルジョン、ソラリゼーションなどのいろいろな技法で作品制作。ユリの花の普通のモノクロが良かった。

・有元伸也写真展「ariphoto 2015 vol.2」、TOTEM POLE
ご本人も言っていたが今回はまとまりに欠ける印象。珍しく、覆い焼きが目につくプリントもあった。同じ人物が何度も被写体になっており、その人だけでまとめればドキュメンタリーになると思うのだが、そういうふうにはしたくないような感じだ。

・後藤剛写真展「GO TO GO」、Place M
街中のスナップで1980年代からの古いものもある。街を行く当時の女性のスナップが面白かった。

・小山内大輔写真展「unconscious」、RED Photo Gallery
都市の建物や場所など無名性を捉えようとしているのだろうか。北島敬三さんのUNTITLED RECORDSシリーズを連想した。

・溝口良夫写真展「東京原色散歩」、蒼穹舎
こちらも1980年代からの古いスナップ。タイトルに原色とあるがモノクロ作品。歓楽街での写真が多く、どろんとしたプリントはその時代といかがわしさを映しているようだ。

・笹岡啓子写真展「SHORELINE」、photographers' gallery
いわゆる海岸線のシリーズ。香取海と若狭湾で釣りをする人。雨の日に撮られたものがあるが、それはたまたまなのだろうか、狙ったのだろうか。このシリーズで陸前髙田を撮ったものを2冊購入。畠山直哉さんとの視線の違いに興味がある。
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by pprivateeye | 2015-11-03 02:15 | Comments(0)