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カテゴリ:映画( 159 )

映画の沼に引きずり込まれています。

いま金井美恵子『愉しみはTVの彼方に』と題した映画評論を集めた本を読んでいる。発行は1994年で約20年前の文章だ。ロードショーで上映された映画について触れているのではなく、主に映画史に残るような作品について独特の長い、文章教室的には一つの文をもっと短くまとめましょうと言われるような、しかし流し読みを許さないような言い回しで感想を述べている。最初はそれが抵抗になるのだが読み進めるうちに、乾いた粘っこさとでもいうようなものが楽しくなってくる。ちょっとプルーストに似ている。

ところで次の文章はジャン・ヴィゴ監督『アタランタ号』について書かれたものからの引用だが、その感想というか金井さんの観方が表れた箇所にアンダーラインを引いてみた。長い比喩と言ってもよさそうもので、これがそのまま映画の印象・評価になっている。こんな文章表現ができたらと思う。
ちなみに『ポンヌフの恋人』や『タイタニック』で使われた、舳先で両手を広げるシーンはこの映画が大元らしいと何かで読んだが、肝心の『アタランタ号』を観ていないので何とも言えない。ぜひ観てみたい映画のひとつだ。

・・・・・・教会での式をおえた花婿と花嫁が村の通りを二列に並んだ親族たちの行列と共にアタランタ号がもやっている河岸まで歩く比較的長いシーンがある。ウェディング・ケーキの上に飾られた紙とレースでこしらえた花婿と花嫁のように、ぎこちなく歩く二人の後から続く黒い衣装で盛装した親族たちは、新婚の二人の姿が画面から足早に消えると、まるで葬式の行列のように見えるし、河岸にもやっている艀を見た新妻ディタ・パルロの顔は、親とか乳母にとんでもない不合理な扱いを受けて、泣き出すのがいいか喚き出すほうが効果的か決めかねている小さなわがままな子供のようにしかめっ面になり、新夫が元気よく手を振って別れの挨拶を送ってはしゃいでいるにもかかわらず、記念写真を撮るように行儀良く土手に並んだ新妻の親族たち、じっとしたまま手を振りもしないのだ。



もうひとつ、こちらは思わず笑ってしまった箇所。

・・・・・・『大人は判ってくれない』を初めて見た若い映画評論家が、どの子供がジャン=ピエール・レオーなのかわからなかった、と言ったという話を耳にした時は、そいつをビルの屋上から突き落としてやろうか、と思ったものだった。



愉しみはTVの彼方に―IMITATION OF CINEMA

金井 美恵子 / 中央公論社


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by pprivateeye | 2015-02-13 18:36 | 映画 | Comments(2)

シネマヴェーラ渋谷

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1月は渋谷にあるシネマヴェーラで映画を観た。同じビルの3Fにはユーロスペースが入っており、そこでは何度か映画を観たことがあったが、4Fのシネマヴェーラは初めてだ。性格的には新作のロードショーではなく昔の名作を上映する名画座というところか。通常は2本立てで入れ替えなし。飲食類の持ち込み可。一般1400円だ。昨年末から1月にかけて「映画史上の名作 Vol.12」と題して1920~50年代の作品が日替わりで上映された。1回限りではないとはいえ日替わりなのでチラシのプログラムに首っ引きになってしまった。

1/15(木)
「ドクトル・マブゼ」Dr.Mabuse, der Spieler - Ein Bild der Zeit、1922年、独、白黒、サイレント
  第一部 大賭博師篇 156分、第二部 犯罪地獄篇 116分
  監督・脚本:フリッツ・ラング
  出演:ルドルフ・クライン=ロッゲ(マブゼ)、ベルンハルト・ゲッツケ(フォン・ヴェンク)
第一次大戦後のドイツの状況がわかるのは紙幣を偽造するのにドイツ・マルクではなく米ドルをつくるところ。また協定書を強奪して株式市場の混乱に乗じて儲けるとか、結構現代的なところもある。変装や催眠術を使って賭博でインチキをしたりする第一部のほうがお話としては面白い。第二部では殺人の場面が続いてマブゼに共感しづらくなってくる。


1/23(金)
シネマヴェーラの年間会員になる。年会費1000円。鑑賞料金1400円が1000円に割引。

「疑惑の影」Shadow of a Doubt、1942年、米、108分、白黒
  監督:アルフレッド・ヒッチコック
  出演:ジョゼフ・コットン(チャーリー叔父)、テレサ・ライト(チャーリー)
ヒッチコックお気に入りの傑作サスペンス・スリラーとのことだが、本当に傑作なのかなあ。あまりサスペンスを感じなかった。ヒッチコックは『映画術』の中で理想主義者の殺人者と言っているが、ラスコーリニコフ的な意味合いだろうか。叔父と姪が同じ名前だったり、冒頭でベッドに横になっているシーンなどがシンメトリーを意識していていいということらしいが、これなどはそれだけのためで物語全体からするとどうでもいいことだ。特に名前が同じということで何か行き違いが生じるのかと思っていた。しかしそんなことは全然なく、ただ単に同じというだけの無意味さだった。主人公のジョゼフ・コットンの言葉がときどき下品になるのが、字幕だけかもしれないが気になった。また夫婦がどちらも能天気過ぎて疑うということを一切しない。

「マクベス」Macbeth、1948年、米、107分、カラー
  監督・脚本:オーソン・ウェルズ
  原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」
  出演:オーソン・ウェルズ(マクベス)、ジャネット・ノーラン(妻)、ダン・オハーリー(マクダフ)
舞台劇のようだった。しかもカラーだったとは。これを書くためにチラシを見るまで気付かなかった。それくらいシンプルな作りだった。すべてセットで、それも岩山の城で簡単なものだ。王冠は四角くて、紙のような安っぽいものだった。ここまでくると象徴的な意味が出てきそうだ。セリフもマクベスの心の中、モノローグが半分くらいだろうか。
図らずもこの日観た2本の映画の出演者ジョゼフ・コットンとオーソン・ウェルズは、あの「第三の男」の二人ではないか。


1/27(火)
「ローラ殺人事件」Laura、1944年、米、88分、白黒
  監督:オットー・プレミンジャー
  出演:ジーン・ティアニー(ローラ)、ダナ・アンドリュース(マクファーソン刑事)、クリフトン・ウェッブ(ラ     イデッカー)、ヴィンセント・プライス(シェルビー)、ジュディス・アンダーソン(アン)
推理小説を忠実に映画化したような作品。ジーン・ティアニーはきれいだが、刑事役のダナ・アンドリュースが変にコワモテやクールを装うわけでもなく、淡々とした語りや動きがいい。マクファーソンも含めた5人の愛情の方向が隠れたテーマともいえそうだ。

「面の皮をはげ」Miroir、1947年、仏、92分、白黒
  監督:レイモン・ラミ
  出演:ジャン・ギャバン(リュサック)
かつてアナキストだったリュサックは、いまでは実業家で裏の世界でも実力者となっている。その配下の者の人数が多く、着ている服もフォーマルもしくはダブルのスーツで区別がつきにくかった。結局、上着のポケットに両手を突っ込んでほとんど表情を変えないジャン・ギャバンの印象だけが強く残る。あとは、リュサックの過去を知っている年増の女性歌手(愛人?)が退廃的な雰囲気でよかった。最後の銃撃シーンは話を終わらせるためだけのようにも見える。


1/28(水)
「ナイアガラ」Niagara、1953年、米、89分、カラー
  監督:ヘンリー・ハサウェイ
  出演:マリリン・モンロー(ローズ・ルーミス、妻)、ジョゼフ・コットン(ジョージ・ルーミス、夫)、ジーン・ピー     タース(ポリー・カトラー、妻)、ケイシー・アダムス(レイ・カトラー、夫)
モンロー・ウォークの始まり。マリリン・モンローとジョゼフ・コットンが夫婦という設定には違和感がある。マリリン・モンローに妻という雰囲気が全然ない。最後までの展開を考えると主演はジョゼフ・コットンではなかろうか。全般にセリフが少な目なのがいい。夫婦2組が出ると、2組目の夫は大抵バカに見える。ここではケイシー・アダムスが損な役回りだ。ヒッチコックが監督でもいいと思った。

「赤い河」Red River、1948年、米、127分、白黒
  監督:ハワード・ホークス
  出演:ジョン・ウェイン(トーマス・ダンソン)、モンゴメリー・クリフト(アシュー・ガース)、ウォルター・ブレナ     ン(ナディン・グルート)
ハワード・ホークス、ジョン・ウェインと大物の映画のためよく記事を目にするが、そもそもタイトルにそんなに深い意味はなさそうだ。1万頭近い牛と馬の移動が映画の大半なのにそれ自体を描いたシーンは少ない。荒野を牛が進んでいくシーンは俯瞰でも見たかった。牛が暴走するシーンはよかった。また、多くの牛が町の通りを走るのは意外性があって面白い。もっと迫力を出してもいい。最後のジョン・ウェインとモンゴメリー・クリフトの殴り合いのシーンは予定調和的というのは言い過ぎか。ジョン・ウェインは頑固なだけという印象。リーダーシップが強いというのとはちょっと違うと思う。
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by pprivateeye | 2015-02-05 02:26 | 映画 | Comments(0)

A Thousand Times Good Night

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12月17日(水)

角川シネマ有楽町で「おやすみなさいを言いたくて」を観る。ここは水曜日が割引で¥1,100になる。
  原題:A Thousand Times Good Night
  監督:エーリク・ポッペ
  出演:ジュリエット・ビノシュ(レベッカ、妻)、ニコライ・コスター=ワルドー(夫)
原題はシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」にある言葉らしい。直訳すれば、一千回のおやすみなさい。邦題や直訳からもう少しアットホームな雰囲気を持った作品かと思っていたら、結構ビターな内容だった。観る人にとってはシンドイかもしれない。写真家としていかに現実と向かい合うか、ということが写真を撮っている者に語っているようだ。ドラマとしては、心からの笑顔はなかった。世界の現状を知ればハッピーになれない。それは報道写真家だった監督の気持ちだろう。ジュリエット・ビノシュは「ポンヌフの恋人」からいい感じで年齢を重ねた顔になっている。カメラの構え方とか使い方で素人臭いところはなかった。慣れた感じだ。カメラはCanonだけ。ちょっとロゴがはっきりと見え過ぎだと思う。
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by pprivateeye | 2014-12-19 23:18 | 映画 | Comments(0)

ルキノ・ヴィスコンティ監督特集

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12月8日(月)

早稲田松竹でルキノ・ヴィスコンティ監督特集「熊座の淡き星影」「ルートヴィヒ」を観る。観客は明らかに年配の男性が多かった。これまでにヴィスコンティの作品「は「山猫」しか観たことがないのだが、それでもそこそこ観たなかで一番好きな映画だ。今回も「山猫」に劣らずどちらも貴族趣味たっぷりの内容だった。


「熊座の淡き星影」(1965年、イタリア、100分)
  原題:Vaghe stelle dell'orsa
  出演:クラウディア・カルディナーレ(サンドラ)、ジャン・ソレル(ジャンニ、弟)、
     マイケル・クレイグ(アンドリュー、夫)、レンツォ・リッチ(ジラルディーニ、義父)
「山猫」(1963年)の次に撮られた作品。
クラウディア・カルディナーレのいろいろな表情がいい。彫りの深い顔立ちでさらにそれを強調する化粧なので、怒ったときは本当に怖い顔になるが、笑顔になるとかわいくなる。彼女は両親ともイタリア人だが母語はフランス語で、18歳になるまでイタリア語は話せなかったらしい。意外だ。この映画のときは27歳。
ユダヤ人問題(密告)、近親相姦、没落貴族といった題材が底辺に流れたミステリーっぽい展開だ。ラストも最後までは見せていない。


「ルートヴィヒ」(1972年、イタリア or ドイツ?、237分)
  原題:Ludwig
  出演:ヘルムート・バーガー(ルートヴィヒ2世)、ロミー・シュナイダー(オーストリア皇后エリーザベト)、
     トレヴァー・ハワード(リヒャルト・ワーグナー)
邦題は最後がヒになっているが、ルートウィクと聞こえた。
主人公は第4代目のバイエルン国王。祖父のルートヴィヒ1世が映画「歴史は女でつくられる」でも描かれたローラ・モンテスを愛人にしていた。これは史実だし、この映画もほぼ史実のようだ。
ルートヴィヒの変容が渋くていい。19歳で国王になる若い頃はおどおどした感じで生真面目だ。それが、結婚をすると言い出した中盤からは次第に狂気が見え始める。それに合わせて髭が増えていく。最初は口髭だけで、中央はきちんと分かれていた。その後、あご髭を伸ばし、次第に濃くなっていく。精神病云々と噂される頃には頬髭も生えている。
他ではロミー・シュナイダーがよかった。しっかりした大人の女性なのに十代の女の子のようなかわいらしさが感じられた。実際、この映画で大きく飛躍した。
最後、ルートヴィヒの水死の顔がエンドクレジットの終わりまでずっと写っていた。これには、壮大でしつこいくらいの貴族趣味と同様、ヴィスコンティの狂気のようなものを感じる。4時間というのも長すぎる。





  
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by pprivateeye | 2014-12-09 00:37 | 映画 | Comments(0)

「インターステラー」

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12月1日(月)

TOHOシネマズ市川コルトンプラザで「インターステラー」を観る。
ちなみに12月1日は映画の日のため1000円。他の月の1日は映画サービスデーで1100円。

原題:Interstellar
監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー(クーパー)、アン・ハサウェイ(アメリア・ブランド)、マーフィー(マーフ) - ジェシカ・チャステイン(マーフィー)、マッケンジー・フォイ(マーフィー、幼年期)、マイケル・ケイン(ブランド教授)

観終わったときの感想、これは良いSF映画だ。特に前半の抑えた展開のところがいい。これまでのSF作品へのオマージュがたっぷり。「2001年宇宙の旅」「スターウォーズ」がその中心にある。海の惑星は「ソラリス」を思い出した。最後のスペースコロニーはアーサー・C・クラークか。
理論物理学者が科学コンサルタントを務めているようだが、ワームホールやブラックホールのくだりはやはり描写的には難しい。誰も実際を見たことがないわけだから、科学的に感じが出ていればというのが限界だ。若干クエスチョンマークが付くところもある。活動用のそれほど大きくない宇宙艇で宇宙空間も重力の大きな惑星の大気圏内も自由に動けたのは変だ。そもそも地球から打ち上げるときは三段ロケットを使っていたのだから。
gravity(重力)ということばが耳についた。映画「ゼロ・グラビティ」の影響か。
米国が月面着陸をしたというのはソ連を経済的に追い詰めるための作り話だった、というのにはニヤリとした。
また、主演のマシュー・マコノヒーがときどきシューマッハに見えた(笑)
ディラン・トマスの詩「Do not go gentle into that good night」が何度も引用されている。エンドクレジットにもその記載があった。日本語では「あのやさしい夜のなかへ静かに」(松田幸雄・訳)。最初の一連は次の通り。
  あのやさしい夜のなかへ静かにはいってゆかないでください。
  老人は日の暮れに燃えあがり怒号するものなのです。
  怒ってください、怒ってください、光の死んでゆくのを。
引用もこの箇所だと思う。
どうかなと思う箇所をひとつ。最後の最後のシーンで星条旗が見えるのが気になった。振り返ってみると、地球が飢饉に襲われ人類の先行きが怪しいという状況なのに米国のことしか出てこない。地球=米国という省略のやり方はまずいのではないか。
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by pprivateeye | 2014-12-02 02:51 | 映画 | Comments(0)

中野~新宿、夜は映画

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11月28日(金)

・土田ヒロミ写真展「砂を数える Counting Grains of Sand」、ギャラリー冬青
81年頃が充実していたようだ。人のみっちり感がいい。豊島園と大磯は定点観測のように撮影。人物は大抵無表情だ。笑顔などが見えないほうがいろいろ考えさせられていい。
師匠の新しい写真集『prana』を発見。今回の表紙はグレーだ。体裁は『da.gasita』と同じ。帰ろうかなと思っていたところへ写真仲間のA河さんがやってきた。

・中澤仁写真展「時空の記憶」、コニカミノルタプラザ・ギャラリーA
フォトコンテストをメインにしてきた人のようだ。一点一点、目を引くような面白さはあるが、作家性というか思想というか、面白さ以上のものは希薄に感じた。プリントはマット系の紙のためインクが吸い込まれているようで全体にノッペリしていて残念。

・髙田昭雄写真展「よみがえれ千枚田 ―岡山 上山郷―」、コニカミノルタプラザ・ギャラリーB
中国南部の千枚田の写真を見た経験からすると貧弱に見えてしようがなかった。ここを蘇えらせようという若い人たちは普段何をしているのだろうか。ここに住み着いたとは思えなかった。一種のイベントのようだった。
ただ、作者は40年近くも撮影を続けており、定点で撮られた2点の写真はよかった。

・髙木忠智写真展「諫早 ~haha naru umi~」、コニカミノルタプラザ・ギャラリーC
諫早の水門をテーマに撮影したドキュメント。ニュースでわずかに知る程度だが、水門を開けるか閉めるかは漁業か農業かの問題だと理解している。副題にあるように作者は海を戻したいという立場のようだ。ドキュメント写真が苦手なのはあるいは面倒なのは、こういった問題をまったく避けて通れないことだ。

・斎藤純彦写真展「Milestones」、新宿ニコンサロン
以前にニコンのポートフォリオレビューで作品を見たことがある人だった。先方のほうがこちらの顔を覚えていて先に挨拶されてしまった。金村修WSに参加している人で一目でそれとわかる、モノクロで6×7の作品だ。それとわかるが作品はよかった。特に、マトリックスに展示された奥の壁がいい。ほぼ順光で水平に撮られている。東京郊外の近距離の風景。金村作品のような雑然感は低い。みっちり、きっちり撮られているためだろうか、46点の展示だがそれ以上に思えた。金村さん、小松浩子さん、タカザワケンジさんといっしょになる。


(FBから転載、修正、追記)
午前0時の映画祭(USTREAM)で「素晴らしき哉、人生!」(1946年、アメリカ)を観る。
原題:It's a Wonderful Life
監督・製作:フランク・キャプラ
出演:ジェームズ・ステュアート(ジョージ・ベイリー)、ドナ・リード(妻、メアリ)、ライオネル・バリモア(ヘンリー・ポッター)、トーマス・ミッチェル(ジョージの叔父、ビリー・ベイリー)、ヘンリー・トラヴァース(クラレンス)
アメリカの映画学生は必ずこの映画を見せられるらしい。ピューリタン精神を反映したような、人生を肯定的に描いた作品だ。ジェームズ・スチュアートは適役だ。
この映画の評で思わず頷いたのは、これは「お話」である、と述べたものだった。長い評だったが最初のこの言葉で大いに納得させられた。
よく映画を観終わった後は、他の人はどう思ったのか知りたくてネットでレビューを読んだりする。そのとき、点数の低いレビューを主に読んでいる。というのは自分とは違う感想はどんなものだろうかと思うからだ。しかしそれらを読むとガッカリさせられることが多い。きちんと映画を観ていなかったり、現在の視点で古い映画を判断したり、自分の狭い経験からしか観ていないような評がほとんどだ。ネガティブな評価でもしっかりとしたものならなるほどと思えるのだが、そうでないとレビューなんかだと読むものじゃないと思ったりする。
じゃ読むなよと言われそうだが、観た映画については話をしたくなってしまう。
だから、映画に限らず写真展や読んだ本について自分が書くのは評ではなく感想だと思っている。よくものが見えている人にとってはその感想ですらまだまだだねというレベルかもしれないが、幸か不幸かその意見は自分のところに届くことはない。
ところで、版権が切れてパプリックドメインとなった映画をUSTREAMで放映してきた「午前0時の映画祭」はこれで終了とのこと。古典・名作といわれるものが観られて、楽しみとともに勉強にもなっていただけに残念だ。
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by pprivateeye | 2014-12-02 02:09 | 映画 | Comments(0)

アルフレッド・ヒッチコック監督特集

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11月25日(火)

早稲田松竹でアルフレッド・ヒッチコック監督特集。ともに観るのは2回目。

・「裏窓」1954年
原題:Rear Window
出演:ジェームズ・スチュアート(ジェフ)、グレース・ケリー(リザ)
本当に殺人は行われたのだろうか。
犯人とされる男は女性と一緒に出かけている。この女性は男の部屋の前から出掛ける場面でしか現れない。しかも見えるのは後姿だけだ。男の妻が殺されたかもしれないという状況証拠はいろいろあるが、その女性が妻ではないという根拠は皆無だ。映画は男が犯人だという形で終わっている。
カメラアングルとか視線、ジェフとリザの関係、アパートの各住人の描き方など、ヒッチコックの映画の中でも評価の高い作品だ。しかし、先にあげたように謎解きの部分では少し弱いと思う。
ヒッチコックのカメオ出演の場面:作曲家の部屋で時計を巻いている。


・「北北西に進路を取れ」1959年
原題:North by Northwest
出演:ケイリー・グラント(ソーンヒル)、エヴァ・マリー・セイント(ケンドール)
ソーンヒル自身にとっては不条理のなにものでもなかったと思う。キャプランという謎の人物に間違えられ、しかも殺されそうになる。ただし、映画は不条理を描くものではないので、中ほどで説明の場面が入る。そして後半は活劇という展開だ。
空砲の拳銃を三度も使うというのはヒッチコックらしいということか。また、活劇の舞台がラシュモア山なのもいかにもという感じがする。ラシュモア山はワシントンやリンカーンなどの顔が岩山に彫られたところだ。その大きな顔に意味がありそうでまったくない、しかし映画を観ている者はその顔に引かれてしまう。
カメオ出演の場面:ソーンヒルが中西部に呼び出されるバスに乗り遅れる。
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by pprivateeye | 2014-11-30 03:11 | 映画 | Comments(0)

ミッドナイト・イン・早稲田松竹

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11月22日(土)

早稲田松竹で二度目のオールナイト上映、今回はフランス映画50年代傑作選を観る。いわゆる名画座らしい古い映画なので年配の映画ファンが多いのかなと思っていたが、意外と若い人も多かった。上映は午後11時開始、朝5時過ぎに終了。

・「モンパルナスの灯」1958年
原題:Les Amants de Montparnasse
監督:ジャック・ベッケル
出演:ジェラール・フィリップ(モディリアーニ)、アヌーク・エーメ(ジャンヌ)、リリー・パルマー(ベアトリス)、リノ・ヴァンチェラ(画商モレル)
原題を直訳すればモンパルナスの恋人となり、晩年のモディリアーニと女性の話だ。妻となったアヌーク・エーメのジャンヌはきれいなお嬢さんというだけだったが、リリー・パルマーのベアトリスがよかった。少し年上でモディリアーニとの関係は終わっているのだが、お互い腐れ縁のようなものでつながっている。彼が倒れたときに涙を流した場面がよかった。リノ・ヴァンチェラの画商モレルは実に嫌な人物だった。モディリアーニが亡くなったときその場にいたのに、ジャンヌのところへ行ってもそのことを伝えず彼の作品を物色していた。ここで映画はFINとなるのだが、実際にジャンヌはモディリアーニの死の二日後に投身自殺をしたらしい。映画と史実がごっちゃになってしまう。


・「歴史は女で作られる」(デジタル・リマスター完全復元版)1956年
原題:Lola Montes
監督:マックス・オフュルス
出演:マルティーヌ・キャロル(ローラ)、ピーター・ユスチノフ(サーカス団長)、アントン・ウォルブルック (バイエルン王ルートヴィヒ1世)
ローラは実在の人物で19世紀のダンサー・俳優。映画のように。著名で資産家の男性を渡り歩いた。そのなかには国王もいた。映画は、ローラが出演する現実のサーカスの場面と彼女の過去の場面が入れ子になり、サーカスという非現実的な世界に加えてさらに迷宮の世界を構成している。ただ、ローラ自身が感情を抑えているのでどうしても冷めた目で見てしまう。ところでサーカスとか演劇とかいった「見世物」は当時、大衆への情報発信の場でもあったのだろうなと思った。


・「フレンチ・カンカン」(復元長尺版)1954年
原題:French Cancan
監督:ジャン・ルノワール
出演:ジャン・ギャバン(ダングラール)、フランソワーズ・アルヌール(ニニ)
有名なキャバレー、ムーラン・ルージュ(赤い風車)創設の話。最後のフレンチ・カンカンのシーンは約20分もあるようだ。これはヴィスコンティ「山猫」の舞踏会のシーンに近い。踊り子が踊っているときジャン・ギャバンは舞台裏にいて不安そうにそわそわしているが、歓声を聞いて次第に自信、確信を強めていく。その姿はアンソニー・ホプキンスが演じた「ヒッチコック」を思い出した。しかし、何と言っても踊り子の中心となるニニ役のフランソワーズ・アルヌールがいい。階段の手摺に乗って滑り降りてくるシーンは一瞬だがかわいさいっぱいだ。ちなみに彼女の名前がそのまま石ノ森章太郎「サイボーグ009」の003の名前になっている(^^)
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by pprivateeye | 2014-11-27 02:08 | 映画 | Comments(0)

「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」

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9月25日(木)

市川コルトンプラザで「幕末太陽傳 デジタル修復版」を観る。<第2回 新・午前十時の映画祭>
監督:川島雄三、出演:フランキー堺(佐平次)、左幸子(おそめ)、南田洋子(こはる)、石原裕次郎(高杉晋作)、他有名な人多数。
落語をベースにした幕末の品川遊郭での物語。「居残り佐平次」「品川心中」「三枚起請」など。ただし普通でないのはオープニングは現代の品川の風景から始まる。さらにプログラムの解説によると、本来のラストシーンは佐平次は江戸時代のセットから現代の品川に飛び出していく、というものだったらしい。ただし猛反発をくらってオーソドックスなものに収まったようだ。最初のアイデアどおりだったらシュールな印象で現代的なもっと面白いものになっていたと思う。
出演者では若衆・喜助役の岡田真澄が印象的だった。若い頃は細面で西洋人っぽさがもっと強かった。そのことについて「あっしはこう見えても品川生まれの品川育ちで生粋の・・・」と二回も説明しているのが可笑しい。裕次郎は歯並びの悪さが気になった。左幸子と南田洋子は対等の役のはずだが、左幸子のほうが「品川心中」や「三枚起請」に絡んだ演技でよかった。この7年後には「飢餓海峡」でかわいい女性を演じている。佐平次は陽気な(そういうふうに振舞っている)役なのだが、肺を病んでいるという設定のためどこか暗い影が漂っている。それがフランキー堺の表情にうまくあっている。
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by pprivateeye | 2014-10-01 00:35 | 映画 | Comments(0)

「ゴースト/ニューヨークの幻」

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9月11日(木)

市川コルトンプラザで「ゴースト/ニューヨークの幻」を観る。<第2回 新・午前十時の映画祭>
原題はGhost、127分、1990年アメリカ。
監督:ジェリー・ザッカー、出演:パトリック・スウェイジ(サム)、デミ・ムーア(モリー)、ウービー・ゴールドバーグ(オデ・マエ)。
ロマンス、コメディ、ホラーが合わさった作品といえば聞こえはいいが、結構お手盛りな設定だと思う。恋人を思うあまり昇天できずにいるのはいいとしても、霊のくせに物に触れたりして一方的に悪いヤツを殴るのズルイような気がする。あるいは、善人は天から迎えが来て悪人は闇の中に引き込まれるというのは分かりやすいが、単純な勧善懲悪の霊界版とも言える。サムの口癖「同じく(Ditto)」を最後に彼女が言うのも見え見えだった。
その意味で、観客が望むような展開であり結末であり、観た人が気持ちよくなれる映画だ。
でも、面白かった。
デミ・ムーアのベリーショートの髪型最高。ちょっと性格が強そうな顔してるけど。この作品は彼女の出世作らしい。当時はブルース・ウィリスと結婚していた。
ウービー・ゴールドバーグは、この8月に帰省していたときに観た映画(「天使にラブソング」)に出ていた。ただし「ゴースト」のほうが制作は先。この役デアカデミー賞助演女優賞を獲っている。デビュー作がスピルバーグの「カラーパープル」。これは観たいと思っている。
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by pprivateeye | 2014-09-16 01:57 | 映画 | Comments(2)