Private Eye

ppeye.exblog.jp ブログトップ

カテゴリ:映画( 163 )

「帰ってきたヒトラー」

f0067724_23261366.jpg


2016年7月29日(金)

TOHOシネマズシャンテで「帰ってきたヒトラー」を観る。原題は 'Er ist wieder da' で、翻訳ソフトによると彼は再びそこにいる、といった意味だ。2015年、ドイツ。原作は2012年に出版された同題の小説。

怖い映画だ。
まず、この映画の中のヒトラーは体が大きい。歴史上のヒトラーは写真で見るとやや小柄だ。それだけに映画の中では押しが利いている。そして頭がいい。いわば70年をタイムスリップしてきたわけだが、最初は戸惑うものの現在の状況や技術などを理解していく。ジョークを言うわけではなく、ストレートに自分の考えを述べている。しかし周りは芸人が演じていると思っている。それを見聞きしている者の中には彼の発言を受け入れる者も出てくる。

難しい映画だ。
彼が訴えかけるのは貧困や失業、経済的格差、移民・難民・外国人といった社会問題、あるいは民主主義のあり方といったことだ。これは保守であろうがリベラルであろうが誰が言っても大差はない。ドイツに限らず世界中どこでも同じだ。言ってみれば「当たり前の問題」だ。しかし、ある若者が「民主主義は大切なことだ。誰かがバシッと決めなきゃいけない」といったようなことを発言している。この言葉に矛盾があることに気付いていない。人々の右だ左だ、保守だ民主だといった主張に確たるものはなく、こんなじゃないはずだといった不満がベースにあるだけだ。ヒトラーは「当たり前の問題」を主張することでそれらの不満をまとめ上げていく。その方向は、自分を選ばせて大きな力を得ようとするものだ。

だからこそ、いま観るべき映画だと思う。

映画的にもいいところがある。たとえば、牧草地の高圧電線やプロデューサーの怒りの場面とかいったユーモアな箇所。映画化のシーンでは本物そっくりのマスクやビルの屋上のシーンなど虚構と現実が入り混じったところ。あるいは最初にヒトラーを見つけた売れないディレクターの最後の場面は恐怖だ。



・小松透写真展「遠い海 ― a distant shore ―」、銀座ニコンサロン
モノクロの丸い写真。写っているのは海岸にある松の生えた小島。イメージが円形なので広角レンズもあまり気にならず、見るのは真ん中だけのような気がする。スクエアだと斜め四方に引っ張られたり、逆に圧迫されたりする感覚があって緊張感が生まれるのだが、円形だとそんなことどうでもいいような気になってしまう。

・「monochrome ⅩⅢ Nostalgia」、gallery E・M 西麻布
恒例のグループ展。今回は47人が参加している。それなりの経験や技術を持った人たちの作品なので、その中からいいと思うものを選んで考えてみると面白い。コントラストの高い写真が好きなのだが、一方でインドの象もよかった。この作品は逆光でボンヤリとした印象で好みとは真逆なのだが、なぜいいなと思ったのか考えると、たぶん自分には撮れないという感覚的なものがあったのだと思う。




   
   
[PR]
by pprivateeye | 2016-08-01 00:23 | 映画 | Comments(0)

「疑惑のチャンピオン」

f0067724_18474574.jpg


2016年7月20日(水)
丸の内ピカデリーで「疑惑のチャンピオン」を観る。原題はThe Program。
この日はサービスデーか何かで通常1800円が1100円になっていた。大きな映画館だった。席を指定するときいつものように5列目を選んだら、受付の人からかなり前方ですが大丈夫ですかと言われた。それでもOKにして、実際に腰かけてみたらはっきりと間違いだとわかった。座席は横40×縦25くらいあって、周りを見渡すとガラガラだったので勝手に見やすいところに席を移動する。たぶん30人くらいしか入っていなかったのではないだろうか。
完全に「ヒール」のランス・アームストロングだった。勝つためにドーピングをすることへのためらいや反省は皆無だった。1999~2005年のツール・ド・フランスでマイヨ・ジョーヌを獲得したが後に剥奪。2005年にアシストを務めたフロイド・ランディスは翌2006年に総合優勝したが、ドーピングで陽性反応が出て剥奪。しかし彼の場合はドーピングを行ったことへの反省や悔いが描かれていた。アームストロングの場合は全然そういう姿勢はなく、アスタナで3位になったときにコンタドールが優勝しているが、彼からはリスペクトされた気配はなかった。ちなみにコンタドールを演じた役者はほとんど似ていなかったw


・水谷充写真展「NUDE WORKS」、BRIGHT PHOTO SALON
作者の水谷さんが在廊していたのでいろいろと説明を聞く。きちんとしたその写真制作の姿勢に感心する。お金が動くことまで含めて考えており、その辺りは村上隆と同じだなと思ったし、実際にそういうふうに水谷さんに話したら、村上隆は嫌いなんだけどと言われてしまった^^; 作品はこれまでのものから思い入れのあるものを選んだとのこと。自分の好みは正面右から二番目のスクエアのモノクロの作品。

・宮下正幸写真展「路の記」、新宿ニコンサロン
どこかで聞いたことがあるようなタイトルだなと思ったら、字は違うけれど染谷學さんと同じだった。作品は関西の変なモノや人のモノクロのスナップ。

・菊嶌郁俊写真展「木曾御嶽山」、新宿ニコンサロン
DMになった写真がよかった。他は御嶽山上での神事のスナップがほとんどで特に興味を覚えることはなかった。




  

  
[PR]
by pprivateeye | 2016-07-27 01:24 | 映画 | Comments(0)

クエンティン・タランティーノ

f0067724_18471117.jpg


2016年7月19日(火)
早稲田松竹でクエンティン・タランティーノ監督の「デス・プルーフ in グラインドドハウス」と「ヘイトフル・エイト」を観る。クエンティン・タランティーノという名前は聞いたことがあるような気がするが、どんな作品を作っている監督かということは全然知らなかった。で、ウィキペディアを読んで映画を振り返ると、なるほどと思えるところがいくつもあった。

「デス・プルーフ in グラインドドハウス」は70~80年代のB級映画のオマージュとして製作された作品ということで、フィルムが切れたような箇所とか傷が目につくところがあった。また、普通なら物語の伏線となるようなシーンも単にそのシーンのためだけだったりする。内容は前半と後半でまったくトーンが異なっていた。前半は暴力的な血を見る展開が続くのは嫌だなあと思って観ていたが、後半はスカッとした気持ちにしてくれた。自分の好きな映画の「バニシング・ポイント」にこだわっていたのはよかった。

「ヘイトフル・エイト」は途中までは密室ミステリー的な展開だったが、終盤になって禁じ手的な場面が出て、それからは拳銃で方をつけるという結果になった。クリスティの「オリエント急行の殺人」のように、密室にいる多くの人間が現在は関係がないけれど実は過去にはそれぞれ当事者だったという設定はかなりハードルが高いように思われる。




  
[PR]
by pprivateeye | 2016-07-26 02:28 | 映画 | Comments(0)

映画は繰り返し観ると面白い。

f0067724_2114266.jpg


2016年5月2日(月)

早稲田松竹で「暗殺の森」「ラストエンペラー」を観る。ベルナルド・ベルトルッチ監督特集。
15:05からの上映を観たのだが、映画館に着いたときは只今立ち見の張り紙が出ていてありゃりゃと思ったが、二本が終わった後なので無事座ることができた。席はE-12。最近は右側の通路横に座ることが多い。

「暗殺の森」は、ファシストに転向した男性が暗殺の仕事を受けるものの実行できず、戦後はファシストだった人を糾弾するという内容だ。主人公の男性はクールでもの静かに描かれているが、大勢に従うだけで優柔不断の男に過ぎなかった。最後、友人だった盲目の男性をファシストだと大声をあげて指摘する場面では、その盲目の男性がかわいそうになってくる。

「ラストエンペラー」は随分以前にロードショーで観たが、満州国最後の皇帝の話という印象しかなかった。今回観たら、最初より良かった。溥儀の一生を批判を加えることなく描かれている。本人の意思も無視できないが、それ以上に時代の流れが大きかったと言える。最後に、年老いた溥儀が紫禁城の玉座に近づこうとして管理人の息子に止められるシーンがある。溥儀が子供の頃玉座に隠したコオロギを入れた筒を少年に渡し、少年が顔をあげたときには溥儀は消えている。それは、彼の一生がある意味ではファンタジーだったと思えるようでいい。溥儀の波乱の一生を監督も肯定しているようで、このシーンで初めて溥儀が笑顔を見せている。







   
[PR]
by pprivateeye | 2016-05-06 10:38 | 映画 | Comments(0)

「ティファニーで朝食を」

f0067724_13394.jpg


2016年1月13日(水)

☆「ティファニーで朝食を」、有楽町スバル座
 原題:Breakfast At Tiffany's
 監督:ブレイク・エドワーズ
 出演:オードリー・ヘップバーン、ジョージ・ペパード
トルーマン・カポーティの同題が原作。大学に入ったときの英語のテキストが「ティファニーで朝食を」だった。小説を買っているはずだが、内容はまったく覚えていない。もっとおしゃれな映画かと思っていたが、ラブ・コメディーと言っていい作りになっていた。オードリー・ヘップバーンの着ているドレスはジバンシィらしい。上の写真はよく目にするが映画の中ではこういうシーンはない。作家はトルーマン・カポーティ自身が反映されている。もう一度読んでみようと思った。


・村越としや写真展「沈黙の中身はすべて言葉だった」、タカ・イシイギャラリーP/F
60×180cmのパノラマサイズの作品。撮影はいつものように作者の出身地の福島県須賀川市周辺。2011年の震災以降、意識的に出身地を撮り、その変化を記録していきたいという。パノラマサイズの写真を撮るために6×9のカメラを改造している。これまでにもスクエアや6×7、35mmでも撮り、プリントサイズも六つ切から今回のように大伸ばしのものまでいろいろあるがまったくその姿勢がブレていない。

・西野壮平展「Action Drawing : Diorama Maps and New York」、IMA gallery
IMA CONCEPT STOREが大きく模様替えして、ギャラリースペースが中心となっている。書籍はほんの申し訳程度のスペースしかない。ギャラリーでは西野さんが一コマずつカットされたベタ焼きをパネルに貼って実際に作品を制作している。撮影場所はハバナ。8割くらい出来上がっていた。最近の作品では人物が都市の中に入ってきている。また、新しい試みとして光りで地面にラインを描いたものも展示されていたが、こちらはあまり好みではなかった。それよりも実際の撮影風景のビデオが上映されており、なかなか興味深かった。以前に話を聞いたとおり、高い場所からの撮影だ。

・日本レース写真家協会写真展「COMPETITION」、AXIS GALLERY SYMPOSIA
AXISビルの地下にもギャラリーがあるのを初めて知った。昨年のモータースポーツを取材した作品。F1や世界耐久選手権、ラリー、MotoGP、Super Formula、F3、etc. どれもレースを想像して熱くなる。ラリーでは車がジャンプするシーンがあるがその高さが人の身長以上もありそうで驚いた。よくサスペンションが壊れないものだと思う。
[PR]
by pprivateeye | 2016-01-16 01:37 | 映画 | Comments(0)

8×10作品は魅力的

f0067724_251448.jpg


2016年1月8日(金)

☆「パリの恋人」、有楽町スバル座
 原題:Funny Face
 監督:スタンリー・ドーネン
 出演:オードリー・ヘプバーン、フレッド・アステア
リチャード・アヴェドンがビジュアル・コンサルタントとかで関わっている。フレッド・アステアがファッション写真家の役だが、突っ込みどころ満載だったw 目についたところを箇条書きしてみると、
 ・ローライフレックスを3台と露出計(セコニック・スタジオデラックス)を首から下げていた。
 ・大判カメラ(8×10)はよくわからなかった。
 ・8×10の作品はアヴェドンの撮影だろう。
 ・暗室シーンもある。
 ・引き伸ばし機はベセラーかな。
 ・ヘッドを水平にして壁に投射して大伸ばしするのだが、3m位離れているのに小全紙くらいの大きさだ。
 ・アステアによるプリント作業は2回あるがどちらもいいかげんだ。
 ・現像、停止、定着はそれぞれ10秒もつけていない。
 ・水洗なしですぐに壁にあるフレームに入れていた。
 ・一度目は手で直接撹拌、二度目はバットを傾けて撹拌していた。
 ・一度目のプリント作業の後、手も拭かずに新しい印画紙をセットしていた。
 ・二度目の露光ではマスクを使って印画紙上でトリミングしていたのだが、出来上がったプリントはトリミング
  された箇所だけが大伸ばしとなっていた。
 ・プリントの確認もセーフティライトのままだった。
 ・ローライフレックスで撮影するシーンではシャッターを切る場面はあるが、ファインダーを覗いてピントを合
  わせたり、フィルムを巻き上げたりする場面はなし。
 ・パリではいろいろなところでセットを組んで撮影するが、実際にアヴェドンがやっていたのと変わらないと思
  う。
 ・カメラの扱いが全体的にぞんざいだったのは悲しい。
ミュージカル映画なのでオードリー・ヘプバーンも歌っている。「マイ・フェア・レディ」では吹き替えだったが、オードリー自身も十分に上手だ。


・渡部さとる写真展「Demain」、ギャラリー冬青
タイトルは「また明日」といったニュアンスがあるらしい。いろいろなフォーマット、サイズ、場所、時期の写真だ。子供のときに父親のカメラを使って撮ったファースト・シャッターの写真もあれば、現在の家族を撮ったものもある。パリ、アルルもあるが江古田を撮ったものがよかった。ただ、カラー作品だけはピンと来なかった。変な言い方になるがつなぎという感じ。そういったイメージが選ばれているのかもしれない。
[PR]
by pprivateeye | 2016-01-14 00:51 | 映画 | Comments(0)

目に見えるものを越えて

f0067724_24488.jpg


2016年1月6日(水)

☆「写真家 ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」、シアター・イメージフォーラム
原題は、’No Great Hurry : 13 Lessons In Life With Saul Leiter’。
この映画の発表は2012年で、ソール・ライター自身は2013年に亡くなっていると教えられて少々驚いた。映画は80歳を越えた写真家の日常を取材したものだ。副題の13云々は単なるまとめに過ぎない。NYのアパートに40年以上も住んでいて、部屋の中は雑然としている。印画紙の箱やカメラ、絵、etc. それが親しみを覚える。取材カメラに向かって何度もシャッターを切ったりして、ああ、この人は写真が好きなんだなと思った。最後に「日本語字幕・柴田元幸」と出て、そうだそれでヘミングウェイを読んだんだと思い出した。


・中藤毅彦写真展「Berlin 1999+2014」、ときの忘れもの
ギャラリーに入って右側が1999年の撮影、左側が2014年。右手前から順に見ていくと、はっきりとその違いがわかる。2014年のベルリン空撮(気球に乗って撮ったそうだ)の写真は最初、デジタルかと思ってしまった。1999年はライカにズミクロン35mm、2014年はコンタックスG2に35mmとのこと。1999年はベルリンの壁崩壊から10年、まだ16年前なのにずいぶん昔の風景に見えてしまう。


・石井陽子写真展「境界線を越えて」、銀座ニコンサロン
タイトルだけから鹿の写真とは誰も想像しないだろう。キャプションには「・・・ だが、当の鹿たちは人間たちが引いた境界線を軽やかに越えて、街を闊歩している。」とある。ある種の社会批評性を持った作品だ。それだけにもっと厳しいセレクトであって欲しかった。犬や猫、子供の写真のように、この鹿かわいいでしょう、というようなものも混ざっていた。人のいない街中を歩く鹿は人類滅亡後のシーンかとも見えるし、公共の建物のファサードにすくっと立つ雄ジカは一見剥製のようでなぜこんなところにと思わせる。これもまた異空間だ。それを大事にしたい。
[PR]
by pprivateeye | 2016-01-12 21:21 | 映画 | Comments(0)

映画の一週間

f0067724_2146880.jpg


12月21日(土)
「スターウォーズ/フォースの覚醒」、TOHOシネマズ 市川コルトンプラザ
ポイント鑑賞のため無料。完全につなぎの物語だ。もしくは予告編と言ってもいい。旧作の出演者が年齢を重ねて出演、それに加えて新たなキャラクターが登場しており、口悪く言えば家族ぐるみの同窓会か。ではつまらなかったかといえば、楽しめた。旧作を知っていればなお楽しめる。いろいろ突っ込みどころはあるが娯楽作品としての出来を優先したい。いいなと思ったのはレイア(姫、将軍)の老け具合(笑) 他には、R2-D2が意外に大きいと感じた。


12月22日(火)
「巌窟の野獣」(アルフレッド・ヒッチコック)、「獣人」(ジャン・ルノワール)、渋谷シネマヴェーラ
「巌窟の野獣」はヒッチコックのイギリス時代最後の作品。本人はあまり評価していないらしい。コーンウォールという地名はサスペンスもの(小説、映画)でよく耳にする。全般に限られた場所での話なので舞台劇のような印象もある。チャールズ・ロートンが嫌なヤツをよく演じている。ヒッチコックはこの後、アメリカに渡って同じ原作者で「レベッカ」を撮っているが、ずいぶんと印象が異なる。
「獣人」はまず蒸気機関車とその運行がたっぷりと描かれている。いろいろなカメラアングルに加えて、走行中の線路、通過する駅や橋などを見ていると、そこで何か事件が起こるのではないかと思ってしまう。しかし、事件はジャン・ギャバンの血が起こしてしまう。


12月26日(土)
「祇園の姉妹」「雨月物語」、早稲田松竹
監督はどちらも溝口健二。初めて観る。
「祇園の姉妹」では19歳の山田五十鈴がドライな妹役を演じている。TVドラマで年を取ってからの姿しか知らないので、最初誰だかわからなかった。全体的にスクリーンが暗く感じたのは古い映画(1936年)だからだろうか。それとも谷崎が『陰翳礼讃』(1933年)で書いたように日本の家屋の暗さを見せているのか。
「雨月物語」、京マチ子が主演かと思っていたら一場面だけだった。怨霊(?)として出てくるがあまり執着がなくオドロオドロした感じは薄かった。二組の夫婦とも亭主がいい加減なのに対して女房はしっかりとしていた。


12月27日(日)
「バルカン超特急」(アルフレッド・ヒッチコック)、「浜辺の女」(ジャン・ルノワール)、渋谷シネマヴェーラ
「バルカン超特急」は気絶から目が覚めたら同じ列車に乗っていた老婦人が消えているというミステリ。最初は、気が付いたのは夢の中の出来事ではという穿った見方をしてしまったが、実際はさらわれたようだ。二人のイギリス人紳士がコンビで出てくるが、この二人の振る舞いがいかにもイギリス人っぽくて皮肉がきいている。
「浜辺の女」はルノワールが米国で制作した最後の映画。盲目(になった)の画家という設定、その役を演じたチャールズ・ピックフォードの存在感がよかった。
[PR]
by pprivateeye | 2015-12-28 00:02 | 映画 | Comments(0)

"The rain in Spain stays mainly on the plain."

f0067724_4312839.jpg


2015年12月1日(火)

YEBISU GARDEN CINEMAで「マイ・フェア・レディ」(原題 My Fair Lady)を観る。
  1964年、アメリカ、英語、カラー、170分
  監督:ジョージ・キューカー
  出演:オードリー・ヘプバーン(イライザ)、レックス・ハリソン(教授)、
     スタンリー・ホロウェイ(イライザの父親)、ウィルフリッド・ハイド=ホワイト(大佐)

ブロードウェイでのミュージカルの映画版。ミュージカルではジュリー・アンドリュースが主役を演じている。
バーナード・ショウの原作が初演されたのが1914年で、ブロードウェイでの公開が1956年で、まだイギリスの階級社会は堅固なものだったろう。ちなみに、教授や大佐は資産家でアスコット競馬場の社交場に行くこともできるがあくまでも中産階級で、上流階級ではない。上流階級は王室につらなる貴族階級であり、ブルジョワは中産階級だ。
"The rain in Spain stays mainly on the plain."は下町なまりの英語を矯正するときの一例だが、ウィキペディアを見るとこの一文が各国の言葉で一覧になっていて面白い。
イライザは下町の花売り娘からレディに変身できたが、「自分」を獲得する過程が描かれていないので批評性には欠けると言わざるを得ない。


12月1日は映画の日で料金が割引となるのでハシゴをした。
早稲田松竹で「セッション」と「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観る。

「セッション」(原題 Whiplash)
 2014年、アメリカ、英語、カラー、106分
  監督:デミアン・チャゼル
  出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ

う~ん、どうなんだろう、評価が高い記事を目にするが、すごいとは思うもののあまりいいとは思わなかった。
ドラムのレッスンの厳しさには部外者は驚くばかりだが、はっきりいってそれぞれの演奏の違いはわからない。
ドラマとしての良かった箇所は家族・親戚揃っての食事と、恋人との別れの場面くらいかな。食事の場面では主人公が従兄弟(?)から「音楽の世界は汚いからな」と言われ、これは後の伏線ともいえる。
あまりいいと思わなかった理由は、主人公が何をしたいのか全然わからないこと。学校の中のバンドでドラムを叩きたいだけのようにしか見えない。チャーリー・パーカーの例えが出てくるが、自分もそうなりたのか見えない。預かった楽譜をその辺りの椅子に投げ出したり、事故ってパニクッているとはいえスティックを置き忘れるなんて、ちょっと軽すぎる。だから、最後の最後のシーンが良く見えても、たぶんこの元教授にはついていけないだろうなと思ってしまう。


「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
  (原題 Birdman or The Unexpected Virtue of Ignorance)
  2014年、アメリカ、英語、カラー、119分
  監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
  出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィアナキス、エドワード・ノートン、エマ・ソトーン、
     エイミー・ライアン

今日観た映画のなかでは一番いいのではないかと思う。
かつてのハリウッド・スター俳優がブロードウェイに自分の脚本・演出で出演するという話。部分的には劇中劇だ。映画や舞台といったショウビジネスのパロディともいえそうだ。
超常現象(妄想?)があったり、ドラム演奏があったり、劇中劇であるがゆえに現実と嘘(芝居)が入り混じり、撮影では長回しのようなシーンが続いたりと、いろんな仕掛けがあって油断できない。舞台裏の通路でのシーンが印象に残っている。
[PR]
by pprivateeye | 2015-12-10 01:33 | 映画 | Comments(0)

「美術館を手玉にとった男」

f0067724_4305316.jpg


2015年11月28日(土)

ユーロスペースで「美術館を手玉にとった男」を観る。
  2014年、アメリカ、英語、カラー、89分
  監督:サム・カルマン、ジェニファー・グラウスマン
  共同監督:マーク・ベッカー
  出演:マーク・ランディス、マシュー・レイニンガー、アーロン・コーワン、ジョン・ギャッパー

この映画はお話ではなく実話、ドキュメンタリーである。出演のマーク・ランディスという男が絵画の贋作を米国の46の美術館に寄付したという話だ。
あるとき美術館職員のマシュー・レイニンガーが自身の美術館にあるものが贋作であることに気付いた。新聞やTVなどのメディアもそれを大きく取り上げ、FBIも捜査に乗り出した。しかし、ニセモノではあるものの、寄贈に際して金銭的なものは一切からんでいないので犯罪性はないとのことで罪には問われていない。
贋作の作り方は結構お手軽だ。カラーコピーしたものに彩色しただけとか、木の古さを出すためにコーヒーで色つけたりしている。
寄付の仕方は母の遺産の中にあったもの、といった簡単な話だけで美術館は信じ込んでしまう。そのウラを取ろうともしていない。
ランディス自身は精神的に病んでおり、その苦悩から描かずにはいられないようだ。それは草間弥生があのドットを描かずにいられないのと同じだと思う。
上映の後、美術ジャーナリストの鈴木芳雄さんと東京国立近代美術館主任研究員の保坂健二朗さんのトークショーがあった。こんな事件は日本ではまず起こらないだろうとのこと。美術館が作品を購入したり寄贈を受けるときには必ずその来歴を調べて、あやふやなところがあれば絶対に入手しない。それにアメリカの美術館は人手も資金も不足しているし、競争意識も働くのでこんな映画のようなこともありうる、とのこと。
[PR]
by pprivateeye | 2015-12-10 00:15 | 映画 | Comments(0)
line

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31