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2017年 04月 19日 ( 2 )

「そこに残るのは形だけでしょう」

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2017年4月15日(土)

・奈良原一高写真展「華麗なる闇 漆黒の時間」、キヤノンギャラリーS
展示は暗い部屋で作品にだけ照明があたっていた。作品はヴェネッティア、刀、能、禅の4シリーズで、展示数はヴェネティアが全体の6割というところか。最初は暗さに目が慣れないのでイメージしか見えずしかもデジタル出力なので、モノとしての写真は捨てているのねと思いながら見ていた。そんな不遜とも思えることを考えていたのだが、目が慣れてくると細部まで見ることができて楽しむことができた。ヴェネティアでは建物の入り口の上部が丸くなっているところだけを集めたコーナーがあり、これは杉本博司の劇場シリーズのようだと思った。4つのシリーズでは禅は好みかな。チラシのテキストに奈良原さんの言葉があり、「禅という思想は、科学的手続きをふむ写真には写らないと思います。そこに残るのは形だけでしょう」と述べている。割り切っているなあ。ここのギャラリーがいいのは展示作品の小冊子が無料でもらえるところだ。

・桜井秀写真展「ノスタルジックな道 ルート66」、キヤノンオープンギャラリー1
以前、キヤノンの望遠レンズが触れるコーナーがあったが、その横が展示スペースになっていた。すでに廃線となっている米国の国道ルート66を辿った、モノクロの作品。タイトルにノスタルジックなとあるが写真はあえてそういう撮り方はしていないように思えた。極めて現代的なスナップだった。

・原美樹子写真展「Change」 第42回木村伊兵衛写真賞受賞作品展、新宿ニコンサロン
少し黄色い感じのプリントが独特だ。イコンタというクラシックカメラでほとんどノーファインダーで撮られており、選考委員の一人鈴木理策さんが「目の前に現れる世界を不思議そうに見つめ、カメラにお願いして記憶してもらっている」ような印象だと述べている。最終候補に残ったなかでは現代アートから遠く離れていて、一番写真らしい写真が受賞したのはいいことではないかと思う。「アサヒカメラ」が木村伊兵衛賞を別冊付録にしているのはいい。それを読んでいるときに写真仲間と遭遇する。

・伊藤邦美写真展「秩父みち二人」、ニコンサロンbis新宿
定年退職した人が夫婦で秩父札所巡りをしたときの写真。その場所と二人の記念写真がセットになって展示されていた。作者が話しているのを背中で聴いていたのだが、俺が俺がという人のようで写真もその通りだった。


  


  



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by pprivateeye | 2017-04-19 19:33 | Comments(0)

「乱 4K」

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2017年4月14日(金)

YEBISU GARDEN CINEMAで黒澤明監督「乱 4K」(1985年)を観る。タイトルにあるように4Kデジタル修復されたものだ。
この映画の中心は当然
シェイクスピア「リア王」であり、
秀虎役の仲代達矢と狂阿弥役のピーターがそのストーリーの真ん中にいる。他に重要な役は楓の方の原田美枝子かな。
秀虎が息子たちに裏切られ城に火をかけられてから狂気と正気を行ったり来たりするところは仲代達矢だからこそだ。アップでも引きでもその存在感を見せている。
狂阿弥役のピーターは一人色黒でおかしなことばかり言って、あれは何だ余計だというレビューをいくつか目にするが、それこそがこの映画の世界の異常さを表わしている。異常ばかりでは正常が何かわからない。狂阿弥役がおどけながら、あるいは狂言風に言っていることはすべて真実なのだが、それを理解している者は周りにはいないように思えた。
クローズアップの頻度などでその場面や役の重要さが測れるが、長男太郎(寺尾聡)はほとんど印象に残らないし、その印象の薄さが役柄(演技)となっている。次郎(根津甚八)も最初は父親秀虎をどうするかと腹心たちと相談する場面などでクローズアップで捉えられるものの、楓の方(原田)が本性を表わしてからは背後からのショットが多くなった。
楓の方が次郎の正室の末の方(宮崎美子)をどうするのかと迫る場面ではカメラは絶対に次郎の表情を映そうとしない。ちなみに宮崎美子がクローズアップで捉えられることはまったくなかった。三郎(隆大介)は「リア王」では三女コーディリアに相当するが、この映画ではさほど重きが置かれていない。
一方で、楓の方は地味な登場の仕方をするが次第にその本性を露わにしてくる。そこには秀虎に攻め滅ぼされた一族の生き残りという背景がある。これは浅井長政の三姉妹のあり得たかもしれない生き方だと思う。三姉妹の母は織田信長の妹お市であり、姉妹は豊臣秀吉や徳川秀忠に嫁いでいる。浅井長政自身も信長に滅ぼされており、三姉妹の誰かが楓の方のように振る舞ったとしてもおかしくない。このことに触れた評はまだ目にしていない。
このような見方をしてくると、合戦のスケールがすごいとかの感想をよく見るが、それは付け足しのようにしか思えなくなってくる。実際には、多くの馬が走っている中で落馬するという演技はものすごく危険だ。それが何回も何人もがやっているわけだが、物語の展開から考えると合戦が必ずしも必要とは思えなかった。城攻めのシーンでは秀虎が狂うためにだけ必要としか考えられないでもない。このあたりもう少し切り詰めていけば親子の裏切りと愛情という関係が濃くなったのではないか。ただし、超大作というわけにはいかないかもしれないが。



  



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by pprivateeye | 2017-04-19 00:49 | 映画 | Comments(0)
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写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye
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