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傘がない。

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交通会館から出たら、またしても雨が降っている。
立ち読みをして時間を潰すも雨は止みそうにない。しばし迷ったあと、対面のビックで200円のビニール傘を購入。


◆和田剛写真展「motherland +」、フラッグ・ギンザ・ギャラリー
ほとんど行ったことのない場所でギャラリーを見つけるのに手間取った。
入った瞬間、風景写真かーと思った。沖縄やアメリカ、メキシコ、五島列島などのきれいな風景がカラーで撮られている。
母なる大地みたいなものを連想をしていたのだが、もっと私的な視線で撮られている。
作者の話を聞くと、タイトルには自宅のようにくつろげる場所、気持ちが落ち着くところといった意味が込められているらしい。

◆福間海写真展「神々の庭」、PUNCTUM
知床半島、白神山地、日光、熊野など、いわゆる神的なところで撮られているのだが、作品そのものは特にその場所を暗示するようなものはなく、その意味では場所にとらわれていない。
朝もやや、雨上がりの霧などで全体がぼんやりとしか見えない。
ここでも一見風景写真に見えるが、作者はもっと大いなるものを見たいようだ。単にきれいな風景を撮るのではなく、その自然を作り出しているものを捉えたいのだと思う。

◆伊奈英次作品展「EMPERORS」、ツァイト・フォトサロン
天皇陵と周囲の自然が8×10で、真正面から左右対称にタイポロジーの手法で撮られている。
鳥居や拝所などは左右対称でも、まわりの森林や地形といった環境はそうはならない。自然のなかに天皇陵が取り込まれているように見える。
ドキュメンタリーでもなく、もちろん風景でもなく、モノクロの静かな画面を見ていると古代からの日本の歴史を連想してしまう。

◆Vincent Fournier写真展「Space Project」、丸の内ギャラリー
火星探検など宇宙計画の訓練や施設をカラーで撮影。
ユタ州の荒涼とした風景などはそれだけでも美しいがそこで宇宙服を着て訓練するということや、無菌室の真っ白な部屋、NASAのコントロールパネルなど、まるで模型のようでリアリティがあまり感じられない。
地球から宇宙に行くということは妄想や冗談ではなく真面目な仕事であり、巨額な資金が投入されている。にもかかわらず、あるいは、だからこそなのかもしれないが、現実感が乏しい。
これらの作品を見ていると、リアルであることとそうでないことの境目、垣根というのは、われわれが普段思っているよりも低いということかもしれないと感じる。
by pprivateeye | 2008-11-12 23:23

写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye