Private Eye

ppeye.exblog.jp ブログトップ

長い時間のなかで変化するもの。

f0067724_02205506.jpg

2017年5月17日(水)

・宮島逹男展「Counter Skin」、AKIO NAGASAWA Gallery
タイトル通り、人の腹部にデジタル文字の数字をペイント。作者はLEDを使用したデジタルカウンターが有名だが、今回のようにペイントされたものを見ると新たな疑問が湧いてくる。まず、数字の並びに意味があるのだろうか。ここには6だけを並べた箇所もあった。また、なぜ人の肌なのか。デジタルカウンターにすることで一切の人間的(情緒的)なものをそぎ落としているのだが、そこに人間を介在させることの意図は何だろう。そして、デジタルカウンターのときには0はなくブラックアウトしていたが、ここでは塗りつぶされている。その色は黄色味がかったオレンジという暖色だ。何か人間の生といったものに関係がありそうな気がする。

・梁丞佑(YANG Seung-Woo)写真展「新宿迷子」第36回土門拳賞受賞作品展、銀座ニコンサロン
新宿歌舞伎町でのストリートスナップ。土門拳賞受賞評のなかに「肯定も否定もしない視線」という言葉があって、まさにその通りの印象だった。夜の歌舞伎町で子供が一人で遊んでいる。普通、これは異常なことだ。実際、作者も撮り始めた頃にはそのことに驚きと疑問を感じたとのこと。しかし20年をかけて撮られた写真から選ばれた作品にはそういった一切の意見・考えといったものはうかがえない。では作者は感情を抑えて撮っているのかといえばそうではない。いまも撮影を続けているか尋ねたら、少しだけ、最近は面白くなくなってきた、という答えが返ってきた。やはり 何かを感じて撮るのだが、それを見る側に押し付けるようなことはしていないということだろう。

・川嶋久人写真展「ヤクシマ ヤクシ -中国新疆ウイグル自治区の今-」、新宿ニコンサロンjuna21
2009年のウイグル騒乱をきっかけに訪れるようになったとのこと。最近は中国側からもイスラム側からも規制が強くなってきているらしい。

・田中舞写真展「嫋やかな光」、新宿ニコンサロンjuna21
10年前に作者と同世代の女性8人を撮影しており、その10年後とを比べた作品。8人それぞれの写真が写真集にまとめられている。

・濱田トモミ写真展「変生」、ギャラリー冬青
トタン板が風化して変色したものを正面から撮影。スクエアのフォーマットと相まって写真を抽象画のように見せている。何が写っているか、どう写っているかということではなく、見る側がどう見るかがすべてのような気がする。抽象画の場合はその線や形や色には作者の選択があるが、表面的には似ているもののこういった写真にはそれがない。撮影者も見る側としてそのトタンを選んでいるのだ。
写真仲間といっしょになり、ギャラリーが閉まる時間まで話し込んでしまった。おしゃべりをしながら2年前に作者が出したモノクロの雪の写真集「INSOMNIA」をパラパラと何度も見ていたら、2年前の展示を見たときの印象とは別のことを思っているのに気付いた。雪を白くあるいは黒くプリントした写真からドロドロした情念のような何かを感じた。撮ったものが雪であることは二の次になってしまったのだ。今回の「変生」も時間が経てば文字通り違ったものが見えてくるのかもしれない。





   





[PR]
by pprivateeye | 2017-05-23 02:21 | Comments(0)