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「帰ってきたヒトラー」

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2016年7月29日(金)

TOHOシネマズシャンテで「帰ってきたヒトラー」を観る。原題は 'Er ist wieder da' で、翻訳ソフトによると彼は再びそこにいる、といった意味だ。2015年、ドイツ。原作は2012年に出版された同題の小説。

怖い映画だ。
まず、この映画の中のヒトラーは体が大きい。歴史上のヒトラーは写真で見るとやや小柄だ。それだけに映画の中では押しが利いている。そして頭がいい。いわば70年をタイムスリップしてきたわけだが、最初は戸惑うものの現在の状況や技術などを理解していく。ジョークを言うわけではなく、ストレートに自分の考えを述べている。しかし周りは芸人が演じていると思っている。それを見聞きしている者の中には彼の発言を受け入れる者も出てくる。

難しい映画だ。
彼が訴えかけるのは貧困や失業、経済的格差、移民・難民・外国人といった社会問題、あるいは民主主義のあり方といったことだ。これは保守であろうがリベラルであろうが誰が言っても大差はない。ドイツに限らず世界中どこでも同じだ。言ってみれば「当たり前の問題」だ。しかし、ある若者が「民主主義は大切なことだ。誰かがバシッと決めなきゃいけない」といったようなことを発言している。この言葉に矛盾があることに気付いていない。人々の右だ左だ、保守だ民主だといった主張に確たるものはなく、こんなじゃないはずだといった不満がベースにあるだけだ。ヒトラーは「当たり前の問題」を主張することでそれらの不満をまとめ上げていく。その方向は、自分を選ばせて大きな力を得ようとするものだ。

だからこそ、いま観るべき映画だと思う。

映画的にもいいところがある。たとえば、牧草地の高圧電線やプロデューサーの怒りの場面とかいったユーモアな箇所。映画化のシーンでは本物そっくりのマスクやビルの屋上のシーンなど虚構と現実が入り混じったところ。あるいは最初にヒトラーを見つけた売れないディレクターの最後の場面は恐怖だ。



・小松透写真展「遠い海 ― a distant shore ―」、銀座ニコンサロン
モノクロの丸い写真。写っているのは海岸にある松の生えた小島。イメージが円形なので広角レンズもあまり気にならず、見るのは真ん中だけのような気がする。スクエアだと斜め四方に引っ張られたり、逆に圧迫されたりする感覚があって緊張感が生まれるのだが、円形だとそんなことどうでもいいような気になってしまう。

・「monochrome ⅩⅢ Nostalgia」、gallery E・M 西麻布
恒例のグループ展。今回は47人が参加している。それなりの経験や技術を持った人たちの作品なので、その中からいいと思うものを選んで考えてみると面白い。コントラストの高い写真が好きなのだが、一方でインドの象もよかった。この作品は逆光でボンヤリとした印象で好みとは真逆なのだが、なぜいいなと思ったのか考えると、たぶん自分には撮れないという感覚的なものがあったのだと思う。




   
   
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by pprivateeye | 2016-08-01 00:23 | 映画 | Comments(0)
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写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye
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