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白岡さんのこと

 
写真家白岡順さんが3月17日に亡くなられた。享年71歳。


2009年に白岡さんが主宰するカロタイプでのワークショップに参加したのが始まりだった。昨年12月にカロタイプを別の人に譲られるまで足かけ7年間お世話になっってきた。
思い出すことはいくつもあるが、印象に残っており、自分でも大事にしていることをいくつか書いてみる。


講評講座を受講する際に一度見学させてもらってもいいですかと尋ねたら、どうぞどうぞ2~3回くらいならいいですよ、全部というのは困るけど、と少し照れたようなハニカんだような顔で応えられた。そしてその笑顔はいつも変わらなかった。


ギャラリー巡りをしているときに何度も顔を合わせる写真家の人がいた。あるときその人が、いい先生についたのだからそこでしっかりとやっていけば、と言われたときにはなぜか誇らしい気持ちになった。


2011年の震災のときには2人の写真仲間とカロタイプの暗室に入っていた。揺れのため現像液などがあふれ出して暗室の床が濡れてしまった。その日は夜遅くにまず都営新宿線が復旧し、帰る方向が同じだったので白岡さんと本八幡駅まで行った。バスやタクシーを待つ人が長蛇の列をなしており白岡さんが歩きましょうと言って、千葉街道を東へ歩き始めた。道路は左右とも大勢の人が歩き、逆に車は混雑であまり進んでいないようだった。歩きながらいろいろとりとめのないことを話したと思うがその内容の記憶はない。西船橋駅に着き武蔵野線の高架下で自分はここですと別れようとしたら、白岡さんが握手を求めてきた。意外にも大きく厚い手だった。その後、白岡さんはそれまで歩いた距離以上を歩かれて、後で聞いたら深夜3時くらいに自宅に着いたとのことだった。


ギャラリーとしてのカロタイプを実現できなかったことが心残りのようで、終盤にはご自分の作品の展示を計画されていた。その話をされていたときに、自分の後は前野さんの展示をやるからと聞いて驚いた。え、なぜ?と思ったが白岡さんが言うには、以前ルデコで展示をしたいと相談されたときに、カロタイプをギャラリーとしても使うからそのときにやればいいと引き留めたことがあるので、と言われた。
ルデコでの展示というのは、渡部さんが2Bのグループ展のためにルデコの2、3Fを予約していたものの3Fが空きそうなので展示する人を募っていたことがあった。その頃自分は、Horizonのシリーズを大全紙で作り白岡さんのアドバイスに従って調色までしたもののニコンなどは落選したので、どこかで展示をして一段落つけようと思っていた。それでルデコで展示を考えているのですがと相談したら、ルデコは仲間内でやるにはいいが写真関係の人がギャラリーを回るルートには入っていないので作品を知ってもらうには向いていないと言われた。
ルデコの話はたぶん2年以上も前のことだったので、そんなことはすっかり忘れていた。
だからその言葉を白岡さんから聞いたときには、自分は何をしていたんだろうと不甲斐なく思った。


講評講座では自分の作品だけでなく他の人の作品について、参加者がそれぞれ意見や感想を述べる。それを聞くことで、また自分の考えを言葉にすることで考えが整理でき、新たな視点が見つかることがある。もちろん白岡さんも意見を述べれば、ある作品について歴史的経緯や状況などを説明し、その際にはわざわざ写真集を引っ張り出してきて我々に見せてくれることが多かった。それも勉強になったし、その講義自体が楽しかった。
そして白岡さんがいつも問いかけることが二つあった。
 「あなたは写真で何をしたいのですか?」
 「この写真はいい写真ですか?」




 
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by pprivateeye | 2016-03-23 21:26 | Self Portrait | Comments(0)
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写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye
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