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志村喬

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京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターで展覧会「生誕110年 映画俳優 志村喬」が開催されていて、その関連上映で11/14(土)に「酔いどれ天使」、11/15(日)に「生きる」を観る。監督はどちらも黒澤明。料金はともに520円。

「酔いどれ天使」は三船敏郎が初めて黒澤作品に登場。いま見ても三船のヤクザはしゃれている。いわゆる百姓的なドロ臭さが全然ない。結核という病気の役のためのメイクもあるだろうが、顔立ちがシャープだ。キレキレのイメージ。後年のサッポロビールのCMは想像できない。ダンスシーンで腰を振る後姿、先輩ヤクザとの対決シーン(部屋の中での対峙、廊下でのペンキで滑るところ)がよかった。
一方、志村喬の医者・真田は反骨精神をもった熱血漢だがこれがややベタな感じだ。途中で、自分の若い頃も松永(三船)のようにやさぐれていたと話すだけで回想シーンもない。そのため松永へのこだわりも表面的なものに感じられてしまう。

「生きる」はすごいよかった。なので次を観るのをやめてしまった。ヒューマニズという言葉を使うと上っ面だけを撫ぜているような気がする。観終えたときの印象は分厚い映画だなということ。渡辺課長(志村喬)の生前と、その死後の仏壇の前での回想という構成によって、描いているものが一個人の生き方からその周囲(=社会)のあり方に変化し、批評性が前面に出てきている。また印象的なシーンもいくつかある。最後のブランコで「ゴンドラの唄」をくちずさむシーンは有名だが、それまでの話の展開からすれば予想通りという感じだ(キャバレー?ですでに歌っている)。好きなのは居酒屋で渡辺が小説家と話すシーンだ。小説家の後ろから撮って暗い片隅に渡辺の顔が見えたり、あるいは小説家が梁に両手をかけて渡辺を覆い尽くそうとしているように見えるところなど。またこれも有名だが、喫茶店で決心した渡辺が階段を駆け下りるとき隣の客たちがハッピーバースデーを歌うのが重なるシーンもいい。葬儀を終えた後の仏壇の前では酒が入るにつれて役人たちの本音が出てきて、さらに進むと口先だけで褒め合うところなど、いま現在のドラマを見ているようだ。

志村喬が出演した映画は9月から上映されており、全然気付かなかったのは残念だ。「七人の侍」や「ゴジラ」もあったが、「羅生門」はなし。金井美恵子が書いていたので「鴛鴦歌合戦」は観たかった。
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by pprivateeye | 2015-11-21 01:37 | 映画 | Comments(0)
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写真について、極私的な、 あれやこれや


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