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対談 北井一夫 × 田中長徳

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1月12日(土)

都写美での「対談 北井一夫×田中長徳」に参加。ゲストにツァイト・フォトサロンの石原悦郎さんも二人といっしょに話す。参加者の大半が年配の男性だった。

以下、ノートのメモをそのまま。
北井(以下、K): 進路を決めた重要な人が二人いる。一人は大崎のりおさんで、アサヒグラフやアサヒカメラの編集者をやっていた。もう一人がツァイトの石原悦郎さん。
1978年にツァイトができてすぐの頃「村へ」の展示をやった。
プリントの裏に撮影年、場所、サインを鉛筆で書いた。表にも撮影年とサイン。このサインについて石原さんは厳しかった。
1点6万円の値段をつけた。
写真を売ることにアサヒカメラの人から批判された。
石原さんは10年待てば写真家はオリジナルプリントで勝負できる。美術館もオリジナルプリントを収蔵するようになる、と言っていた。他には「これとこれをプリントしてくれと言われてやるな」とか「サイズは自分で決めろ」とも言われた。
石原(以下、I): 北井さんの写真は被写体と北井さんの間にカメラが存在しない。荒木君らと違ってカメラがない。それは才能だと思う。圧迫感がない。
田中さんはウィーンの美学のようなものがある。保守的かもしれないが。
田中(以下、T): 私の両隣の人がいて私がある。
ウィーンでアサヒカメラの「村へ」の連載を見ていた。日本の原風景だと思う。その後、1980年にドイツ表現派の撮影で北井さんとヨーロッパを周った。
そのころの自分の写真美学は鉛筆の芯をどれだけ尖らせられるかというようなことをしていた。
北井さんの撮影は有体に言えば図々しい。路上のおじさんやおばちゃんが胸襟を開いてくれる。映画的アプローチとでもいいますか、5mでタテ位置で撮って2.5mで撮って、相手に気づかれても怯まない。自分の存在を相手に知らしめている。
私は日本に帰ってきてツァイトで石原さんに見てもらい、展示をすることになった。
K: ドイツ表現派は春2ヵ月冬2ヵ月だった。
カメラの掃除をしていて長徳さんに「北井さんはカメラへの愛情がない」と言われた。
T: 北井さんはレンズに息を吹きかけて掃除をしている。
いっしょに長く旅をしていると、北井さんが喧嘩をしかけてくる、やさしい声で。
今回の展示を見て気付いたのは、あるときからトーンが変わってきている。フナバシストーリーはまだトーンが強い。
K: 90年代のプリントが多い、今回の展示は。
森山さんの高温現像による粒子の荒れた濃いネガとはちょっと違う。温度を20℃以下に下げて45分とか長時間の現像をD76の1:1でやっていた。それで微粒子になっている。荒いのは飽きるかと思い、方向を変えた。
当時、アサヒカメラの印刷は悪かった。黒が出なかった。ヴィンテージはそれほどコントラストが高くない。印刷の段階で濃くなっていった。
引き気味で背景と人を同じバランスで撮りたかった。しかしこれではすぐに飽きてくると気付いた。もう少し相手に寄って撮ろうとした。だからプリントも荒々しいのはやめるようになった。
T: リー・フリードランダーも初期はコントラストが高い。それはロバート・フランクに心酔していたからです。ウィリアム・クラインもアレブレですが、80年代後半からトーンが柔らかくなっている。
K: アレブレが最初にあるのではなく、結果。テーマによって立ち位置などが変わってくる。プリントも同じ。年とともに柔らかくなってくる。そのほうがいいと思う。
エディションは10で2~3回に分けてプリントしている。初めのプリントに合わせてプリントすることはない。機械的にやるのが嫌だ。違っていてもいいと思う。
オリジナルプリントの売り上げが収入の9割。デジタルを使う必要性がない。
I: 若い人が持ってくるコンセプテュアルな写真はデジタルが合う。
K: 木村伊兵衛はニューフェイス診断で的確な判断ができた。ズミクロンはほとんど使っていない。「でっこまひっこま」「現実に平面はない」
90年代北京はエルマー、ドイツ表現派はズミルックス。古いレンズを使うと黄砂などにうまく対応できると思った。木村さんの写真は肌にツヤがある。フィルム現像とかプリントとか思っていたが、エルマーで撮ったらすぐに出た。
銀座で長徳さんと会って、エルマーの35mmをすぐに買えと言われて買った。それ以来ずっと使っている。
T: ブレッソンはエルマー35mmにライカDⅡ.
K: 木村さんはほとんどエルマーだった。長徳さんの言う銘レンズはエルマーの35mmと50mm、それに沈胴ズミクロン。
K: 政治は強い。断ち切って三里塚へ行った。自分の立脚点を考えた。人を近くで撮る。三里塚では絶対に逃げない、聞かれたことは全部説明する。闘うためでなく、写真をを撮りに来た。
I: 三里塚は協賛も抵抗もない。写真を撮っているんだねという感じ。
K: 「村へ」は都会から田舎へ行く。何かの報告ではない。三里塚のときと同じ考え。「村から」というのは絶対嫌だった。生きた時代のどこかで写真に撮る、写すのが本道。
I: サインはあのゆるい感じが売れる。
K: 一夫の「一」は「・(点)」になっていて、書道の人がいいねと。絶対退色しないインク。ブレッソンと同じ。チャイニーズ・インク、つまり墨だね。





  

 
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by pprivateeye | 2013-01-19 02:50 | Comments(3)
Commented by H.O at 2013-01-19 05:36 x
初めまして。趣味で写真を楽しませて頂いております。
私は、レンズ云々と語れませんが、お話出てきたエルマー35・50mmそして沈胴ズミクロンを愛用させて頂いていましたのでなんだか嬉しかったです。これからも大切に使います。

以前のポストで、フィルムローダーのお話をされておりましたがその後如何でしょうか?
私は、ご紹介のローダーは使ったことがないのですが、Aldenというメーカーのやつがシンプルで使いやすく幾つか持っております。
もし機会がありましたらこのローダーもオススメです。(ご存知かもしれません。失礼致します)

また立ち寄らせてください。失礼致します。
Commented by pprivateeye at 2013-01-19 11:10
H.O さん、コメントありがとうございます。
フィルムローダーの件まで御存じなのですね^_^;
やり方を写真仲間に教えてもらって、いまはT-MAX400の100フィート缶を使っています。
これからもよろしくお願いします。
Commented by H.O at 2013-01-19 13:54 x
度々すみません。^^;
ローダーの件は、本日pprivateeyeさんの所に来たときに一緒に拝見させて頂きました。^^
改めてよろしくお願い致します。
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写真について、極私的な、 あれやこれや


by pprivateeye
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