Private Eye

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写真を見ても道を歩いても、上がったり下がったり。

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2017年3月18日(土)

・飯田鉄写真展「草のオルガン」、ニエプス
このDMを最初見たとき、えっカラーか、と思ったが、展示を見て安心した。モノクロと同様、濃い影が印象的なプリントだった。写っているものは古い住宅や建築物で、一見昔に撮られた写真のようにも思えるのだが、すべてデジタルでそれも7種類くらいのカメラを使用しているとのこと。

・広瀬耕平写真展「土を織る」、TOTEM POLE
不思議な写真だった。白く光っている小さなものは雪のように見えたが、写真は干潟を撮影したもので、陽射しの反射や貝殻とのこと。そして暗い背景に木々の細かな枝のように見えていたのは和紙の繊維だった。フィルムのベースが和紙とのこと。これには驚いた。実際にネガを見せてもらったが、裏が白くて紙だというのがよくわかった。これだと今回の作品のように抽象的なイメージしか適さないかなと思ったが、4×5を見ると普通の風景でも違和感なく見ることができた。

・二人展 溝口剛「つむつくくむ」・長谷川操「闇は闇でない」、ゑいじう
ふたりともモノクロの作品。やはり喫茶店などでの展示は苦手だ。

・増田祐子写真展「その1%のために」、CALOTYPE
このDMから、また家族写真かと思っていたが間違いだった。Fujiの645で撮られたモノクロの写真は、コントラストがありながらシャキッとした感じよりも柔らかイメージで、不思議な印象だった。海辺とか公園よりも街中のスナップが圧倒的によかった。ちなみに、645のカメラは普通に構えて撮ると画面は縦位置になる。この展示はすべて縦だった。




   



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# by pprivateeye | 2017-03-22 02:43 | Comments(0)

『言語ジャック』と「家族の肖像」

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2017年3月17日(金)

昨年、四元康祐という現代詩の詩人を知った。詩集『言語ジャック』に「名詞で読む世界の名詩」という作品がある。こんなふうに始まる。
秋 夜 彼方 小石 河原 陽 珪石 個体 粉末 音 蝶 影 河床 水
(中原中也「ひとつのメルヘン」)

蠅 時 部屋 静けさ 空 嵐 目 涙 息 攻撃 王 形見 遺言 部分 署名 羽音 光 窓
(エミリー・ディキンソン「蠅がうなるのが聞こえた――わたしが死ぬ時」亀井俊介訳)

心象 はがね あけび つる くも のばら やぶ 腐植 湿地 諂曲模様 正午 管楽 琥珀 かけら いかり にがさ 青さ 四月 気層 ひかり 底 唾 はぎしり おれ ひとり 修羅 風景 なみだ 雪 眼路 天 海 聖瑠璃 風 Zypressen 春 いちれつ 光素 脚並 天山 雪 綾 かげろう 波 偏光 まこと ことば 王髄 日輪 樹林 交響 碗 魯木 群落 枝 二重 喪神 森 梢 ひのき 草地 黄金 かたち けら 農夫 気圏 かなしみ 青ぞら つち 肺 みじん いちょう 火ばな
(宮沢賢治「春と修羅」)

あれ 何 永遠 太陽 海 見張り番 魂 夜 昼 世間 評判 方向 己れ 自由 サテン 燠 お前 義務 間 望み 徳 復活 祈り 忍耐 学問 責め苦 必定
(アルチュール・ランボー「永遠」宇佐見斉訳)

・・・・・・
この詩はこんな調子で28人の詩の名詞だけが引用されている。文節はなくても使われている名詞を見るだけでその詩の世界が浮かび上がってくるようだ。谷川俊太郎とは異なった形で言葉に関わっていることが面白くて気持ちがいい。

この詩集を思潮社のサイトで注文したのだがついでだし直接買いに行こうと思った。が、所在地の番地を間違えてしまい、東西線神楽坂駅で降りてしまった。一度はあるビルに入ったのだがそれらしき会社の気配がない。改めて検索したら番地は1-17ではなく1-7だった。そしてそこは凸版印刷の側だった。その近くでまたウロウロしていたら声をかけてくる男性がいて、それが思潮社の人だった。約束の時間に来ないのでわざわざ路上まで出てこられたようだ。さらに支払いのときには消費税までサービスしてもらった。たぶんおつりが面倒だったのだと思う。ちらっと見えた室内は本の山で外にまであふれそうで、なんかいい感じのする空間だった。

せっかくなので向かいの凸版印刷の印刷博物館を見学する。1Fの入場無料の展示だけ見る。凸版文久体という新しい書体を作る過程が展示されていた。ブックデザイナーの祖父江慎の校正とかも見られて面白かった。で、完成した書体が上の写真。凸版文久見出しゴシックEBというもの。

このあと神保町の岩波ホールへ。ヴィスコンティ「家族の肖像」を観る。始まった回の次の時間だったので整理券番号は№1だった。実はこの映画館は初めてだ。ちょっと料金が高い、というか割引率が小さい。ヴィスコンティは「山猫」を観て以来のファンだ。どちらもバート・ランカスターが主演を務めているが、印象は対照的だった。「山猫」での公爵は没落していく貴族階級の中でも背筋を伸ばしているが、「家族の肖像」での教授は世間からドロップアウトして自分だけの狭い世界に生きている。その教授に父と息子、そして同性愛的な関係をうかがわせた青年がヘルムート・バーガーで、最初はガサツな人物に思えたのが次第にその知性と危ない政治思想を見せてきて、教授との関係が強くなっていく。いいなあと思っていたら、この人は「ルートヴィヒ」を演じた人だった。しかもヴィスコンティはトーマス・マン「魔の山」の映画化も企画しており、その主役ハンス・カストルプにヘルムート・バーガーを予定したという記事を読んで、観たい!と思ったのだった。





  


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# by pprivateeye | 2017-03-21 01:53 | 映画 | Comments(0)

写真って、気持ちが出るよね。

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2017年3月11日(土)

・「ROCK YOU展」、CALOTYPE、ニエプス
LPレコードのジャケットに写真を貼った展示。二つのギャラリーで展示されていたが、合わせて見るとニエプスに展示されていた田中長徳さんの2枚の写真が一番好きだな。ところで実はこの展示はあまり気分のいいものではなかった。写真とレコードジャケットの組み合わせというけれど、ジャケットは単に写真の台紙としての意味合いしかなかった。レコード盤の中央の写真も新しく貼られたものだが、レコード自体はそのまま聴くことができる。なかにはジャケットの天地さかさまのまま写真が貼られたものもあるなど、レコードに対するリスペクトが感じられなかったのが残念だ。その意味も含めて成功していそうなのはニエプスに展示されていた元田敬三さんの作品だ。写真がツッパリ連中(?)を取り押さえるもので、レコードが若い頃の石原裕次郎だった。

・梁爽(リョウ ソウ)写真展「東・北/East・North」、TOTEM POLE
東京と北京でのモノクロ・ッスナップ。上下二段の展示で、上が東京、下が北京という『組み合わせだったが、どちらもほとんど違いはなかった。東京と北京、どちらも好きだという作者の気持ちが感じられる。

・張凱翔(Ken Chang)写真展「東京サーカス」、Place M
街中のモノクロ・スナップ。六つ切りの展示で点数が多かったが楽しく見ることができた。写っているものとか撮り方が特に面白いというわけではないのだが、全体として作者のユーモアが伝わってくる、嫌みのない写真だった。

・田口昇写真展「コクーン」、RED Photo Gallery
作者の子供が生まれ、その姿を10日ごとくらいに撮影。生後すぐから99日目のお食い初めまでを等身大のプリントで展示したもの。言ってみれば親バカということになるのだろうが、それ以上に見ていて微笑ましい感じがよかった。演出的なものといえば、赤ん坊の着ているものが全部違っていたことか。

・小川康博写真展「Cascade」、蒼穹舎
昨年亡くなった作者の母親の遺品の中に8mmフィルムを見つけ、それを映写したものを撮影。それ以前に撮影していた花の写真と合わせて展示。家族(子供の頃の作者もいる)の映像にもかかわらず、第三者的な記録が感じられていい。その一方で、映写したときのスクリーンの関係で写真が暖色系の色味となって、母親の死という悲しみをやわらげているようだ。





   

 
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# by pprivateeye | 2017-03-21 00:39 | Comments(0)

深川~本所~小伝馬町って、まるで時代劇だ。


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2017年3月10日(金)

・「ANDO COLLECTION」、ANDO GALLERY
現代アートのギャラリーなので写真の展示があるときには覗いたりしている。今回はギャラリーのコレクション展で、リカルダ・ロッガンという写真家の作品が展示されていた。この作品は以前にここで見たことがあるものだった。ヨーロッパの著名人の遺品をごく普通に撮影しているものと、人の手が加えられた洞窟の大きな作品だった。他にペインティングでショナ・トレスコットという人の作品がよかった。長辺が20cmにも満たないような小さなアルミ板に描かれた風景が抽象っぽいのだがゴッホやルオーを連想させた。たまたまギャラリーの人の解説を聞くことができて、この作家は若いけれど描く力を持った人だそうだ。この「描く力」という言葉が新鮮だった。

・峰崎野人写真展「Parrhesia #008 居所」、TAP Gallery
このギャラリーに来るのもずいぶん久しぶりのような気がする。村越さんや野尻さんがメンバーから抜けて自然と足が遠のいていたのだが、今回見た峰崎さんは先の両者とはまた異なったモノクロ・プリントだった。埼玉の田舎の風景だがややコントラストの高いプリントで、これもまたきれいだった。三人を比べると一番自分のプリントに近いようなきがした。

・鈴木麻弓写真展「THE RESTORATION WILL」、Reminders Photography Stronghold Gallery
作者の両親は2011年の津波で亡くなり、そのレクイエムのような作品だ。手製本の写真集プロジェクトの一環としての展示。津波の後で拾った父の4×5のレンズで撮影された写真は暗くぼんやりとしている。キャプションには「亡くなった人たちが見ているような景色」とあり、最初は写真に写っている人たちを亡くなった人になぞらえていると勘違いしていた。実はその逆で、亡くなった人が現在を見ている視線だった。そう理解することで悲しみはずっと続いているのだなと感じた。

・矢嶋英久写真展「ひかる森」、Roonee 247 Fine arts
ルーニーが日本橋小伝馬町に引越してから初めての訪問。矢嶋さんの作品はルーニイのサイトでDMの写真を見て行こうと思った。彩度を少し上げ気味で手を加えたプリントが面白そうだと思ったのだが、それはこの写真だけだった。全体的には色の乏しい里山の中の風景だ。10年間撮影しているとのことなのでセレクトによってまた違った印象になったのではないだろうか。

・圓谷真唯写真展「此処彼処」、Roonee 247 Fine arts
4月にルーニイで展示を控えており、その予備的な展示が店舗側の壁にされていた。身の回りをカラーで撮影したもので、以前にニエプスの二人展でその作品を見たことがあった。

展示の後、オーナーの篠原さんの話を聞いた。販売されている写真集の中に築地仁さんの新しい写真集があった。3年くらい前にDAZLLEで築地さんが予約を取っていたので、やっとこれ出たんですねと言ったら、そうなんですよ、みんな心配してました。直接築地さんに聞くと叱られそうだし、ヤキモキしてました。なんて答えが返ってきて笑ってしまった。





   

  
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# by pprivateeye | 2017-03-21 00:00 | Comments(0)

模型かもしれない\(^o^)/

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2017年3月1日(水)

・上瀧由布子写真展「糸遊」、銀座ニコンサロン
モノクロの日常スナップなのだが、不思議な印象を受ける。糸遊とはクモの糸が空中に漂っていてゆらゆらと光って見えることをいうらしい。作者はそこにある種の希望のようなものを感じているようだが、作品はその逆でどちらかといえばネガティブな感情を感じる。

・大橋英児写真展「Existence of」、ZEN FOTO GALLERY
飲料水の自動販売機を撮影。カラー作品。これまでの作品とか写真集にまとめられたものを見ると、写真展の展示は割合タイポグラフィーっぽいセレクトなんだと思った。テキストの中に笠地蔵という言葉があり、自販機を擬人化したような作品も多かった。雪の中に埋もれている自販機とか、広い荒地のようなところにポツンと置かれたものを見ると、彼らも頑張っているんだなあと変な感情も湧いてくる。

・築地仁写真展「写真像」、タカ・イシイギャラリーP/F
1984年に発表された作品集からの展示。モノクロのスクエア。都市の中のモノの形(表象)や質感に惹かれた写真。そこには記号とか意味とかは無視されていると言ってもいいかもしれない。同じようにモノクロでスクエアの作品を作っている写真仲間のSさんを思い浮かべた。築地さんの最初期の写真集『垂直状の、(領域)』を見れたのもよかった。1975年の出版で、このころは築地さんもブレ・ボケの写真を撮ったりしているんだと思った。

・伊藤義彦写真展「箱のなか」、P.G.I.
雨粒や人形をパノラマサイズで撮影された作品。連続するカットをつなぎ合わせてあるらしい。写真絵巻という言葉が使われおり、日本の絵巻物のように時間の経過も閉じ込めたいようだ。他に、ハーフサイズのカメラのコンタクトプリントによる作品も何点かあった。横12カット縦6段、計72カットでひとつの絵というこの作品は最初にデッサンのようなものをつくるらしい。


この日は銀座駅で写真家の飯田鉄さんに声をかけられ、P.G.I.の入り口ではカロタイプの講評会メンバーのTさんと顔を合わせるなど、珍しい日だった。そういえばP.G.I.が芝浦から東麻布に移転してからは初めてだ。ずっと買わなければと思っていたストレッジボックスを購入。ヨドバシよりだいぶ割安だ。東京タワーがすぐ近くにあり、ビルの隙間から見えるその姿は妙にリアリティがあるが、一方でその真逆の作り物っぽくも見える。スケール感が変になり面白い。そんな気分で珍しく街のカフェで休憩もした。







  
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# by pprivateeye | 2017-03-07 01:31 | Comments(0)